ISO TC249のワーキンググループ3では、様々な鍼灸鍼ならびに鍼の安全利用に関する国際規格を作っています。
日本からはアカデミアとして鍼灸を専門とする大学教員と工業界として鍼メーカーの担当者が参加しており、これまでに単回使用毫鍼(ISO 17218)や単回使用皮下鍼(ISO 18746)および通電で用いる単回使用毫鍼の試験法(ISO 20487)の国際標準(IS)の策定に関わってきました。近年では、単回使用三稜鍼の策定にノミネートエキスパートとして携わり、現在、本規格は委員会段階(CD stage)へと進んでいます。
日本製の鍼灸鍼の品質は非常に高いことが知られていますが、その品質に影響を与えるような規格が策定されることのないよう今後も積極的に関与して参ります。
鍼の安全利用については、鍼の感染制御に関する規格作成において、日本の伝統的刺鍼法に影響がでないよう働きかけこれを守りました。安全利用に関する規格は、所掌範囲外である治療法と密接に関係することから、日本鍼灸を守るためにも厳しくチェックして参ります。
2022年12月20日現在で、作成された国際標準は、下記の通りです。
ISO 17218:2014
Traditional chinese medicine -- Sterile acupuncture needles for single use
単回使用毫鍼の国際標準(IS)です(プロジェクトリーダーは中国が務めましたが、規格の策定には日本が積極的にサポートしました)。
この規格の発行に伴い、JIS T 9301は2016年に改正されました。その後、2019年、発行から5年が経過し、規格の定期見直し(SR)となり、各国の意見聴取の結果「確認」(専門的変更なしで維持)とされました。
ISO 18746:2016
Traditional chinese medicine -- Sterile intradermal acupuncture needles for single use
単回使用皮下鍼の国際標準(IS)です(日本が共同プロジェクトリーダーとして策定しました)。
皮下鍼には、円皮鍼および皮内鍼が含まれ、同時に改正を検討されていたJIS T 9301:2016にも当ISが使用されています。
2022年、発行から5年が経過し、規格の定期見直し(SR)となり、各国の意見聴取の結果「確認」(専門的変更なしで維持)とされました。
ISO 20487:2019
Test method of single-use acupuncture needles for electrical stimulation
通電で用いる単回使用毫鍼の試験方法の国際規格(IS)です(日本が共同プロジェクトリーダーとして策定しました)。
当初は韓国の提案でしたが、規格の重要性と専門性を鑑み、日本もプロジェクトリーダーとして参加し、規格内容に積極的に関与しました。規格提案当初、この試験方法は学術的にも工業的にも確立できていませんでした。今後は学術的にこの規格が統一した試験方法(通電条件など)として用いられ、安全性・有効性のデータが蓄積されることが期待されます。