千葉大学和漢診療学講座は、2005年4月に誕生した新しい講座です。しかし、そのルーツは古く、戦前から始まった学生サークル「千葉東洋医学研究会」にさかのぼります。多くの方々は驚くかも知れませんが、この歴史が実は日本において東洋医学(漢方医学)というものが大学アカデミズムと出会った最初の歴史となります。和漢診療学は初代教授・寺澤捷年先生が提唱した診療学です。和漢診療学とは東洋医学と西洋医学、それぞれの短所を補い、長所を活用してよりよい医療を提供することであります。
現代医療に、東洋の物の見方や治療法を加え、新しい時代の治療学の確立を目指しています。我々は和漢診療学のこの目標を達成すべく千葉大学大学院医学研究院和漢診療学講座(臨床研究部門)と千葉大学医学部附属病院和漢診療科(診療部門)とが一体となり、新時代の医療を背負う医師の教育、漢方医学の科学的裏付け研究を推し進めるとともに、西洋医学と東洋医学の融合した最善の医療の提供を目指していきます。
「木を見て森を見ず」という諺があります。西洋医学は木(病気)を見ることに優れていますが、ともすると森(病人)を見失う傾向があります。一方、漢方医学は森を見ることは得意ですが、木を見る技術を持たずに発達してきました。森を見て木を見る医療、これが「和漢診療学」です。私たちは東洋医学と西洋医学、それぞれの短所を補い、長所を活用して、最善の医療を提供することを目指しています。その基盤となる漢方医学そのものの理解、その科学的裏付けを研究・教育の基本的目標としています。
医学研究院・和漢診療学は先端和漢診療学寄附講座と一体となって教育・研究・診療に当たります。また、柏市の千葉大学・環境健康フィールド科学センター墨田漢方研究所とも連携して、環境をも視野に入れて幅広く「健康」を考えて行く方針です。