千葉大学 大学院医学研究院 和漢診療学講座

和漢診療学講座について

傷寒論の朗読

傷寒論音読ファイルについて

傷寒論は後漢末に張仲景によって著されたもので、黄帝内経とならぶ中国医学四大経典の一つであり、日本で医学経典として長く支持されてきた書籍です。
古来、典籍や経験を伝承していく方法のひとつとして何回も声に出して読む「誦読(しょうどく)」という方法をとりました。高価な書物が手に入らない庶民が学習する場合などは、自ずと何回も声に出して暗記するこの方法に頼らざるを得ませんでした。
コンピューター技術が発達し、情報を保存する媒体が豊富にある現代では暗記に頼る必要がなくなりました。しかし、この「誦読」という方法は、言語や学問を学習する上で非常に有効な方法であり、何回も声に出して音で覚えているうちに文章に含まれる深い意味を理解できるようになります。とくに医学経典と呼ばれる書物では、字面を追いかけるだけでは理解できないため、その労を払って学習する価値があると思われます。
傷寒論については日本語で音読をした音声テキストが出回っておらず、「誦読」を訓練する補助となるものの必要を感じました。そこで、このたび我々で音読ファイルを作成することにしました。古典に苦手意識を感じている同志の方々に少しでも傷寒論を身近に感じていただければ幸いに存じます。
なお、内容は康平本に収載されている代表的な条文について、収録しました。太陽病篇より順次アップロードしていく予定です。

2019年11月 千葉大学和漢診療学 平崎能郎 大橋範之

太陽病 上篇