臨床においても、日本は西洋医の資格を得た医師がさらに研鑽を重ねて伝統医学を実践するシステムを持つ世界で唯一の国であり、すでに西洋医学との協調によって世界に類のない日本型の統合医療を展開しています。しかし、近年ISO(TC249)に中医学の国際標準化を提訴した中国に対し、日本には国の標準として提起できる伝統医学の資料が少ないのが現状です。中国が中医学の国際標準化を狙う緊迫した国際情勢の中、日本は国益として自国の伝統医学を守る義務があり、日本伝統医学概念の標準化と連動して、その基盤となる臨床的診断法の標準化を確立することはまさに急務であります。
2010年WHO/ICTMのプロジェクト、2009年ISOでのTC249において中国伝統医学の国際標準化への対策の検討がJLOM(学会などが中核となり形成している組織)を中心として始まっています。それに連動して平成22/23年度厚生労働省科学研究費補助金事業「統合医療を推進するための日本伝統医学の標準化」研究班(研究代表者:新井信、分担研究者:並木隆雄ほか)を立ち上げ、日本伝統医学の標準化に向けた基盤整備を推進しました。このようにその基盤となる日本伝統医学の学問的整備と標準化をすすめてまいりましたが、平成24年度からはさらにいまだ標準化がされていない漢方の診察法の研究を開始しました。
現在、漢方標準化に必要な学問的基盤作りとして7部門に分かれて研究を行っております。
千葉大学で開発した舌撮影装置(TIAS)を用い、舌診所見(色調、形態)に関する検討を行っている。