医療行政学講座とは、(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)と千葉大学との連携大学院として誕生した講座で、レギュラトリーサイエンスの観点から、医薬品の評価に関わる様々な行政的課題を、医療現場での実情を踏まえながら有機的に連携し、研究していくことを目的としています。 具体的には、以下が主な担当研究課題です。
例えば、医薬品の効果には、個人差があると言われますが、日本人と白人という集団で比較した場合にも、最適な投与量等は異なることがあり、民族差と言われています。この民族差が生じる要因には、体重、遺伝的要因等の違いもありますが、臨床試験を実施する国での診断方法や併用治療の違いなども影響する場合があります。現在では、医薬品の有効性及び安全性を評価する際には、日本人データ以外に、多くの外国人データを評価することが一般的であり、こういった外国人でのデータに基づき、日本人における有効性及び安全性をどのように担保するのかが、一つの課題となっています。 当講座では、日本人での医薬品の有効性や安全性に影響を及ぼす重要な民族的要因は何かに着目し、そういった要因を考慮しながら効率的な医薬品開発を進めるための方法等について研究しています。また、医薬品の有効性及び安全性を適切に評価するための手法、ゲノム薬理学等を利用した個別化医療を普及・定着化させるための方策等についても研究を行っています。 また、本講座では、こういった課題に関する講義も行っており、医薬品の開発や承認審査における日本の課題について正しく理解し、考える機会を提供しています。将来の医薬品開発や承認審査のあり方について、根拠に基づき自らが考え、提案できる人材、すなわち、レギュラトリーサイエンティスト(Regulatory Scientist)を育成することも重要な目的の一つです。 本講座は、まだ始まったばかりですが、上記のような活動を通じて、客観的な情報を発信し、医薬品の開発及び承認審査等の最適化に貢献していきたいと考えております。