概要

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医学部長挨拶

未来を見据えた
治療学研究の推進・実装と
グローバルに活躍できる医療・医学の
人材育成を目指して

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医学研究院長・医学部長
三木 隆司

 千葉大学医学部2024年に創立150周年を迎えます。わが国にはこれをはるかに遡る昔から医学・医療は存在しましたが、現在に繋がる医学・医療の研究・教育体制は明治維新以降に構築されました。千葉大学医学部は、明治7年(1874年)に設立された共立病院を礎としておりますので、我が国でも有数の長い歴史を誇る医学校の一つであります。

 150年に渡る長い歴史の中で、千葉大学医学部は数多くの優れた医師や医学研究者を輩出して参りました。千葉大学医学部のこれまでの足跡を顧みると、その特色・強みは、医学研究を疾患病態の理解に止めることなく、新たな治療法の創出にまで繋げていることが挙げられます。このことから近年、千葉大学医学部ではこのような学問体系を「治療学」と名付け、この「治療学」を旗印に基礎・臨床研究部門が融合しながら医学研究・人材育成に邁進しております。

 2020年初頭に始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は、世界中に恐怖・混乱と社会変革を招きました。その後、漸くポストコロナの時代を描けるところまで辿り着きましたがその終息にはほど遠く、また次なる新興感染症に対する備えも十分ではありません。こうした中2022年に、日本医療研究開発機構(AMED)が先導する「ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成事業」が始まり、千葉大学は、フラッグシップ拠点の東京大学と連携して研究を進める全国4つのシナジー拠点の1つに採択され、ワクチン開発研究の国家プロジェクトの一翼を担っています。また2021年に千葉大学に設置された災害治療学研究所では、COVID-19に代表される新興感染症や自然災害による健康被害から国民を守ることを目標としていますが、千葉大学医学部では災害治療学研究所との緊密な連携の下で、本シナジー拠点を核としたワクチン開発研究を進める体制が構築されました。

 COVID-19のパンデミックは、この新規感染症に対する医学的な治療・感染対策の難しさに加え、医療過疎地での医療体制の問題点も浮き彫りにしました。これに対し文科省は、複数領域にわたる医療課題に弾力的に対応できる医療人材の育成を目指し、2022年度に「ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業」を開始しました。千葉大学医学部はこの教育推進事業の一つに採択され、「地域医療への高い情熱と好奇心を涵養して総合力・適応力・教育力を醸成する地域志向型医療人材養成プログラム」を進めています。また、2024年4月より医師に新たな労働時間の上限が規定される「医師の働き方改革」がスタートすることから、効率よく優れた医師を育成する必要があり、それについても2023年度から文科省が主導する、「質の高い臨床教育・研究の確保事業」の4拠点の1つに採択され、千葉大学で特徴ある先導的な包括的臨床教育研究支援プログラムがスタートしました。またこの事業では、優れた臨床教育の実践と並行して、近年国際的な競争力が低下している医学研究力の向上も求められていますが、千葉大学の拠点では附属病院に設置された臨床試験部の主導の下、臨床研究を担う人材の育成と研究体制の整備が進められています。

 この様に医学部のミッションは古今東西を問わず、医学研究の推進、医療人の育成、優れた医療の提供ですが、千葉大学医学部・大学院医学研究医院では、これからもこの3つの歯車を連動させながら治療学の歩みを着実に進めていけることを願っております。