呼吸器内科研修・診療

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呼吸器内科の研修・診療 ~全身性疾患としてとらえる~

 高齢化社会を迎えつつある日本において、呼吸器疾患を適切に診ることがより求められている。高齢者人口が多くなると、必然的に呼吸器の病気にかかる方は多くなる。高齢者のみでなく、呼吸器疾患は小児期からも問題になり、生産年齢人口でも多彩な病気の患者が医療機関を訪れる。
 内科医は基盤として広い知識と臨床経験が必要である。すべての患者を自分で診るのは不可能であるが、自分が診れる領域は適切な診療を行う、自分が診れない領域は他の適切な専門医に紹介できる技量が求められる。そうでなければ、社会の要請に応えることができない。ベースになるのは内科の知識があること。さらにその上で、呼吸器の専門医としての知識が必要になる。
 内科のほとんどすべての領域と関係しているのが呼吸器疾患である。急性・慢性に限らず、感染症、炎症性疾患(アレルギー性炎症、免疫疾患を含む)、腫瘍性疾患、肺血管の障害(肺高血圧症を含む)、循環器疾患、内分泌・代謝疾患、中枢神経系疾患(睡眠時無呼吸症候群を含む)、消化器疾患、腎疾患、血液疾患と非常に広範な領域との接点を有しているのは呼吸器内科だけである。そのような観点で様々の病気に通じた医師を呼吸器内科は育てる努力をしている(図1)。自他覚所見そして1枚の胸部X線が、ほとんどの場合に診療の入口になる(図2)。ここでの的確な判断が患者さんの運命にも関係してくる。病態の適切な把握には、臨床・画像・機能・病理の複合的所見の理解が必要になる(図3)。

 

図1. 呼吸器病のとらえ方

図2. 呼吸器診療の入口

図3. 画像・病理・機能の関係