教育・研修案内

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先輩からのメッセージ

先輩からのメッセージ1: 画像診断医より

画像診断のスキルを上げるには、どのようなことが必要でしょうか。第一に、多くの症例を経験することが絶対に必要です。千葉大学では、千葉県620万人の診療を広く請け負っており、症例数・疾患のバリエーションに極めて恵まれています。関連病院では、一般的な疾患を数多く学べることはもちろん、小児病院で小児疾患などのサブスペシャルティを高めるような研修が可能です。また、専門医取得後には留学をし、さらに経験を深めるという道もあります。もしかしたら、他大学出身の方は、「千葉大学には各診療科に画像グループがいて、放射線科はその他の画像しか読んでいない」という話を聞くことがあったかもしれません。それは大分過去の話であることを念の為確認しておきます。現在は全科から読影依頼を受け、連携を取っています。
第二に、自らが行った診断に対する正しいフィードバックが必要です。当科では、診断専門医以前に書いたレポートは、全件診断専門医がダブルチェックをし、マンツーマンでフィードバックを行っています。診断専門医以上は全員、何かしらのサブスペシャルティを持っており、各診療科とのカンファレンスを担当していますので、レベルの高いフィードバックを受けることができます。また、カンファレンスを通じて診療科との良好な関係を築いており、各科からのフィードバックも受けることもできます。若手の時分から、書いた読影レポートに対して、臨床医から直接PHSに問い合わせが来ることを経験するのではと思います。また、昼休みの時間を利用し、症例カンファレンスを行っています。上級医が若手に対して問題を出すような形式を取っており、人前で一見の画像を読影し、所見を言語化し、鑑別を挙げ、最も確からしい診断を下すためのトレーニングの場としています。
第三に、自ら学習をすることです。画像診断の魅力は、外科手術などとは異なり、経験を共有できることです。放射線科医では、多施設で症例を持ち寄り、症例検討を行う会が多数存在します。東京都内から千葉県内、平日・休日問わず行われています。これらの会に、千葉大学は参加しやすい立地にあり、積極的に参加することを推奨しています。千葉大学から毎月のように必ず症例を出すようにしている検討会が複数あり、他施設の放射線科医と共にスキルを高め合っています。他施設との交流の中で、放射線科医としての自らを見つめ直す良い機会にもなっていると思われます。
近年では、研究活動も積極的に行うようになっています。国内はもちろん、海外学会での発表も推奨しています。大学院を通じて学位取得を目指す際には、論文作成を含めて、経験ある上級医が指導を行っています。また、治療部門や他科との共同研究も積極的に推し進めています。研究活動を通じて、撮像された画像を受動的に読影するだけでなく、能動的に診断に必要な情報を提供するスキルを高められると考えています。昨今では、人工知能関係のプロジェクトを複数手がけており、放射線科医がどのように人工知能を利用していくかについて、示唆を深めようとしています。
これらの日常を通じて、レベルの高い放射線科医が、千葉大学では育っています。安心して、千葉大学での研修をご検討下さい。皆様と一緒に働ける日を楽しみにしております。 

 

コロナ禍により、放射線科の教育体制も大きな変化がありました。昼の症例カンファレンスは、密を避けるためにwebベースに移行しています。これにより、産休中や外病院で研修中の若手もカンファレンスに参加できるようになりました。また、定期的なwebレクチャー開催を始めました。困難の中ではありますが、より良い教育体制の模索を進めていきたいと考えております。


先輩からのメッセージ2: 放射線治療医より

放射線治療は根治から緩和まで、多彩なグラデーションを持つ治療法です。未だ社会的な認知度は高いとは言えないからこそ、患者さんへ説明のしがいがあります。放射線治療が未知であるがゆえに不安でいっぱいの患者さんが、説明を聞いた後に少し安堵している様をみると医者人生の解を得た気持ちになります。

個人の見解ではありますが、放射線治療専門医をとるまでに必要なことは知識・経験・想像力+器用さと考えています。

知識は論文・ガイドライン・教科書から学び取ることが可能です。大学病院が各雑誌との契約をしており、論文は読み放題なことが多いです。国内外の学会参加で知識を広め、人脈を広げていけば更なる知識の海が広がることでしょう。

経験は大学病院という特性上、新生児から高齢者までの全人類、頭のてっぺんから足の先まで全身の疾患が千葉県内・近隣から集まります。病院内では各科とのカンファレンスを行っており、患者さんの背景をも考慮しながら治療方針の詳細を決めていくことができます。さらに他施設へ修行に行くことも可能で、各施設での仕様の違いも経験することができます。

想像力は私たちが日々診察で鍛えられます。ほとんどの患者さんは、がんと診断されて命を懸けて治療に来ています。その方たちにどのような心構えで接するか、どうしたら不安を軽減し治療を継続できるか日々想像し考えながら務めてもらえれば幸いです。

器用さに関してですが、放射線治療は外照射だけでなく小線源治療も行います。腔内照射や組織内照射が代表的で、患者さんへ器具を挿入・刺入して行う治療です。狙った通りに器具を挿入・刺入できるかどうかは経験とともに器用さが多少影響します。患者さんに苦痛がない範囲で一緒に経験しましょう。

千葉大学医学部附属病院では豊富な症例とともに、一緒に日々邁進してくれる方を募集しています。環境は同じでも、個人の解釈によってどんな放射線治療医になるかは無限の可能性があります。

人はそれぞれ得手不得手がありますので、適材適所で力を発揮してもらえるような治療医になってもらえれば幸いです。