千葉大学大学院医学研究院
画像診断・放射線腫瘍学
千葉大学病院
放射線科
2021/12/14
千葉大学病院は、1.5テスラの高磁場MRIとリニアック(放射線治療装置)を一体化した高精度のがん放射線治療システム「MRリニアック」を日本で初めて導入し、2021年12月14日から治療を開始しています。本システムは、体内を1.5テスラという高画質のMRIでリアルタイムに病巣を「見ながら」治療できる画期的な放射線治療装置です。
がん放射線治療は、病巣に放射線を何日かに分けて当て(照射)、がん細胞を死滅させていく治療法です。効果と副作用は当たった所に限られ、免疫力の低下もほとんどありません。がんを治すだけではなく、進行したがんによる痛みや出血などの緩和にも大きな役割を果たしています。
当院が導入したMRリニアックは、高画質のMRI画像でリアルタイムに確認しながら、ピンポイントで正確にがんの病巣に放射線照射ができるため、呼吸などでがんや正常臓器が動いても、正常組織への影響を最小限に抑えることができます。治療成績の向上、副作用の低減、治療期間の短縮などが期待される、より安全で精度の高いがん治療です。
・体へ の負担が少なく、 高い効果が得られる
・がんや正常組織がCTよりもはっきり見える。
・リアルタイムに「見ながら」放射線治療ができる。
・直接見ることで照射範囲を安心して狭くできる。
・がんの位置や大きさの変化にすぐ対応できる。
・治療の効果もCTよりよくわかる。
・照射部位を確認するのに放射線被ばくがない。
放射線治療には、以下のような特徴があり、MRリニアックの導入により、患者さんの選択肢がさらに広がることが期待されます。
・乳がん、 肺がん、 前立腺がん、 頭頸部がん、 食道がん、子宮頸がんなど幅広く行われている
・高齢者や合併症のある人でも受けられる。
・正常臓器の機能と形態を温存できる
・主に外来通院で行われ、 仕事との両立なども可能
・外科療法や薬物療法との組み合わせることも可能
Q.対象となるがんや年齢に制限はありますか?
A.特に制限はありません。放射線治療を行うすべてのがんが対象となります。がんを治す目的、縮小させて長生きする目的、がんによる苦痛を緩和する目的まで幅広く対応します。
ただし、MRIを用いた装置なので、体内に金属や医療器具があってMRIが受けられない方は治療できません。また、放射線治療自体の適応がない場合は、MRリニアックの治療対象とはなりません。
Q.通院で治療が受けられますか?入院は必要ですか?治療期間はどのくらいですか?
A.原則通院で治療可能です。この治療のために入院は必須ではありません。原則通院で治療可能です。1回の治療時間は40分から1時間程度です。治療期間はがんの種類や状態によってことなりますが、多くの場合1~2週間を予定しています。
Q.治療は保険適応ですか?費用はどのくらいかかりますか?
A.通常の放射線治療と同じで保険適応となります。定位放射線治療として行う場合は3割負担の方で20数万円程度です。強度変調放射線治療として行う場合は1回あたり1万円程度x治療回数です。
Q.治療を受けたい場合どのようにすればよいですか?
A.かかりつけの医療機関にご相談ください。医療機関から紹介状を添えてFAXで予約をしてもらってください。