プログラム紹介

概要

外界から身を守るための免疫システムが正常に機能しなくなると、ヒトは感染症のみならずアレルギーや自己免疫疾患を発症します。癌の発症頻度の増加や高齢者に多い動脈硬化による心血管疾患などの慢性炎症にも免疫システムが関与することが知られています。これらの社会的に重大な疾患は「免疫システムの調節異常」という共通の観点で捉えることができ、近年の免疫学の基礎研究は目覚ましい成果をあげているにもかかわらず、研究の成果が有効な治療法の開発に結び付くケースは著しく少ないのが現状です。その原因として、疾病の治療法を体系的に研究し実践する「治療学」という学問分野の研究が、基礎医学と臨床医学の枠を超えて体系的に行われていないことや、「治療学」を推し進める人材を組織的に育成する土壌がないことが挙げられます。

千葉大学は、100 年以上にわたる臨床医学の確固たる実績を有するとともに、最近の大学院教育改革プログラムなどを利用し、癌や免疫に関連する疾患の領域で最先端の治療研究に携わる若手研究者を育ててきました。そこで、これまでの千葉大学の実績と強みを生かし、難治性の免疫関連疾患(アレルギー、自己免疫疾患、癌、心血管疾患など)に特化した「治療学」の推進リーダーを養成するプログラムを、医学と薬学が融合した大学院医学薬学府博士課程に組織し、領域横断教育と産学官連携によりグローバル社会で活躍する実践的なリーダーを育成します。特に、免疫関連疾患の病因や治療法、新規の治療技術等を深く理解しトランスレーショナルリサーチや臨床研究を統括指導する能力とともに、リーダーとして必要な人間力(多角的視点、俯瞰力、総合的判断能力、統率力など)を育み、将来、国内外の大学や研究所のみならず製薬企業等で新しい治療薬や治療法の開発を推進するリーダー、大学病院などの基幹病院で先端医療の開発・実践を統率する責任者や医療行政機関の指導者として活躍できる人材の養成を目指します。

特色

社会で広く切望されている人材の育成

少子高齢化が進む日本社会で大きな問題となっている疾病に立ち向かい、画期的な新規治療法の開発研究リーダーを育成するための新規プログラムであり、必要性は極めて大きい。

独自の大学院教育システムの導入

国内外の専門分野を異にする第一級の研究者が結集

千葉大学の6部局から俊秀で教育に熱意あるメンバー35 名、連携機関から6 名、国内外の様々な分野からの千葉大学客員教授13 名がプログラム担当者として参画している。

グローバルに活躍する実践的リーダーの育成プログラム

海外17 大学・研究機関からの客員教授26 名の協力による海外短期研修(実習)や国内外の企業18社や政府関連の3機関からの客員教授23名の協力による特論や研修(実習)を実施する。

専用教育施設を核としたきめ細かなコースワーク

千葉大学の「未来医療教育研究センター」と附属病院内の「アレルギーセンター」が両輪となり、出身学部の違いなど学生の個性に合わせローテーション演習などの柔軟で充実したコースワークを実施する。

世界最先端の研究機関や先端医療の実績を誇る研究所との連携

基礎免疫学研究のナショナルセンターである国立研究開発法人 理化学研究所・統合生命医科学研究センター(IMS)と、癌の重粒子線治療の先導的治療研究施設である国立研究開発法人 放射線医学総合研究所(NIRS)と連携したプログラムである。