臨床研究のご案内

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頭頸部がんに対する免疫細胞療法

 我々は頭頸部がんに対する細胞免疫療法の開発に取り組んでおります。強力な抗がん作用をもつNKT細胞を用いた新規治療に関して、2005年より臨床試験を重ね、頭頸部扁平上皮がんについては、2013年から先進医療として認可されました。その他、唾液腺がんや粘膜悪性黒色腫についても臨床試験を行っています。

頭頸部がんに対する免疫細胞療法の臨床研究

頭頸部がんの種類

 耳鼻咽喉・頭頸部外科で治療を行う、鼻・口・のどや首から発生するがんを頭頸部がんと呼び、発生部位別に鼻・副鼻腔がん、口腔・舌がん、上・中・下咽頭がん、喉頭がんなどに分類され、組織型としては扁平上皮がんがほとんどを占めます。その他、唾液腺がんには非常に多くの分類があることが知られています。

頭頸部がんの治療における問題点

 頭頸部扁平上皮がんは通常、手術や放射線治療、抗がん剤を組み合わせて治療を行います。しかし進行例では治療による身体への負担が大きく、これら全てを行っても根治が難しい場合があります。また、唾液腺がんや悪性黒色腫では抗がん剤や通常の放射線治療の効果が十分ではないことがあります。頭頸部がんでは、特に治療終了後の再発や転移がしばしば問題となるため、これまで再発や転移を防ぐための抗がん剤について様々な検討が行われてきましたが、未だに有効性が十分に確認された治療法がありません。そこで、我々は身体的負担の少ない治療として細胞免疫療法の開発に取り組んできました。

NKT細胞とは?

 NKT細胞は強力な抗がん作用をもつリンパ球であり、α-ガラクトシルセラミドという物質で刺激した樹状細胞によって強力に活性化することが千葉大学で発見されました(右図)。我々はα-ガラクトシルセラミドで刺激した樹状細胞を用いて、2005年より頭頸部がんの患者さんを対象とした臨床研究を行ってきました。これらの成果が評価され、2013年からは先進医療として厚生労働省に認可され、保険診療との混合診療が可能となりました。

現在実施しているがん免疫療法の臨床試験

1.再発・進行頭頸部がん患者を対象としたiPS-NKT細胞動注療法(治験;第Ⅰ相試験)

対象 標準治療後又は標準治療の適応とならない再発・進行頭頸部扁平上皮がんの方
方法 健常な方から採血させていただきiPS細胞を作成、さらにNKT細胞を分化・作製しておきます。その細胞を患者様の頭頸部がんに直接投与します。安全性を確かめる治験です。
募集症例数 4-18例 (募集終了)

【重要】各試験にはそれぞれ参加基準があり、参加出来る時期も決まっています。詳しくはこちらまでメールにてお問い合わせ下さい。1週間経過しても回答がない場合は、再度メールをお送りください。

■E-Mail : jibika(ここにアットマーク)office.chiba-u.jp

 

2.再発・進行頭頸部がん患者を対象とした iPS-NKT細胞動注療法及び自家DC/Gal併用療法の 忍容性、安全性及び有効性に関する第Ⅰ相試験 (自主臨床試験)

対象 標準治療後又は標準治療の適応とならない再発・進行頭頸部がんの方(組織型に指定はありません)
方法 健常な方から採血させていただきiPS細胞を作成、さらにNKT細胞に分化・作製しておきます。被検者のかたから採血をさせていただき、樹状細胞を作成したのちにNKT細胞の活性化剤を添加し、鼻に投与します。その後にiPS-NKT細胞を患者様の頭頸部がんに直接投与します。安全性を確かめる自主臨床試験です。
募集症例数 6例

 

これまで実施した臨床試験

※現在は募集を行っておりません。

  1. 唾液腺がん治療後(安全性試験)
    対象
    :Ⅳ期唾液腺がんで手術・放射線治療・抗がん剤治療の全てまたは一部が終了した方(残存・再発でも可)ただし病理組織型は粘表皮癌・腺様嚢胞癌・唾液腺導管癌・腺癌・多形腺腫由来癌に限られます。
    方法
    :患者さん自身の血液から調製した樹状細胞を鼻粘膜下に2回投与します。本試験は単群オープン試験です。
    募集症例数
    :9例
  2. 頭頸部粘膜悪性黒色腫(メラノーマ)抗がん剤併用重粒子線治療後(放射線医学総合研究所との共同研究)
    対象
    :頭頸部領域の粘膜悪性黒色腫において抗がん剤併用炭素イオン線治療が終了した症例。
    方法
    :患者さん自身の血液から調製した樹状細胞を鼻粘膜下に2回投与します。本試験はα-ガラクトシルセラミドの刺激の有無による2群間ランダム化二重盲検試験です。
    募集症例数
    :50例
  3. 頭頸部がん治療後再発予防
    対象
    :Ⅳ期頭頸部扁平上皮がんで治療後に完全寛解となった方
    方法
    :患者さん自身の血液から調製した樹状細胞を鼻粘膜下に2回投与します。本試験はα-ガラクトシルセラミドの刺激の有無による2群間ランダム化二重盲検試験です。
    募集症例数
    :66例