千葉大学大学院医学研究院
耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学
千葉大学病院
耳鼻咽喉・頭頸部外科
研究内容には大きく2つの領域があります。一つは、頭頸部悪性腫瘍に対するものであり、もう一つはアレルギー関連領域に対する基礎研究で、いずれにおいても新規治療法の開発を主眼としています。また、その他として革新的な新規研究と頭頸部癌に対する臨床研究があり、これらを具体的に以下に列挙します。
教育については、医学部教育(卒前教育)、研修医教育(卒後教育)、大学院教育およびその他に分けて提示します。
耳鼻咽喉科疾患全般および頭頸部腫瘍の治療に力を注いでいます。
頭頸部腫瘍の治療については、100年以上の当教室の歴史において、長い年月をかけて治療法の開発を追及して来た経緯があり、より高い根治性を、かつ嚥下や発声の機能温存、更に形態の温存を目指す治療を推し進めています。また、唾液腺腫瘍については、4代前の北村武名誉教授時代より継続されて来た手術法の開発を現在も継続しています。耳下腺腫瘍は、組織型が多様であるために術前の確定診断は容易ではありません。悪性腫瘍が混在する症例も多く、顔面神経が温存できるのか、合併切除した際の再建法はどうするかなど追及しながらも、高い治療成績を維持しています。
高齢化が進む中で、より侵襲の少ない治療を追い求め、内視鏡下手術を鼻副鼻腔および咽喉頭領域に導入しています。鼻副鼻腔に発生した悪性腫瘍は通常外切開での手術となることが多いのですが、症例を十分に検討し、内視鏡下手術を用いることで、頭蓋底に浸潤する悪性腫瘍の切除も可能としています。頭蓋底合併切除の症例でも2週間程度で早期に退院に繋げる実績を有しています。また、下咽頭や喉頭の悪性腫瘍に対しても、早期であれば内視鏡下での切除が可能であり、更に音声の改善手術も積極的に行うことによるQOLの改善は、患者さんの満足度の向上に繋がっています。
当科では甲状腺腫瘍の手術も多く、術後に気道狭窄や発声・嚥下障害を来す可能性があるため、気道に対する術後管理の点からも安全な手術が提供できています。 スギ花粉症を始めとするアレルギー性鼻炎に対しても、当教室が開発の中心の一施設となった舌下免疫療法を取り入れると共に、治療適正と効果の評価を行い、地域の医療施設と連携を取りながら、患者さんのQOLの向上を追い求めています。 また、難治性である好酸球性副鼻腔炎に対しても手術と薬物療法を組み合わせながら対応し、症状の変化を詳細に検討することで新たな治療法がないかを常に模索しています。
難聴やめまい、顔面神経麻痺、睡眠時無呼吸などの耳鼻咽喉科疾患に対しても、新たな治療法を模索しながら、安定した治療を提供できる体制も整えています。
1.Chikashi Minemura, Shunichi Asai, Ayaka Koma, Naoko Kikkawa, Mayuko Kato, Atsushi Kasamatsu, Katsuhiro Uzawa, Toyoyuki Hanazawa and Naohiko Seki.(2022).Identification of Antitumor miR-30e-5p Controlled Genes; Diagnostic and Prognostic Biomarkers for Head and Neck Squamous Cell Carcinoma Genes . Basel,13(7),1225.
2.Shunichi Asai, Tomoaki Saito, Nozomi Tanaka, Nijiro Nohata, Chikashi Minemura, Ayaka Koma, Naoko Kikkawa, Atsushi Kasamatsu, Toyoyuki Hanazawa, Katsuhiro Uzawa and Naohiko Seki.(2022).Genome-Wide Super-Enhancer-Based Analysis: Identification of Prognostic Genes in Oral Squamous Cell Carcinoma. International Journal of Molecular Sciences,23(16),9154.
3.Ryutaro Yasudome, Naohiko Seki, Shunichi Asai, Yusuke Goto, Yoshiaki Kita, Yuto Hozaka, Masumi Wa-da, Kan Tanabe, Tetsuya Idichi, Shinichiro Mori and Takao Ohtsuka.(2022).Molecular Pathogenesis of Colorectal Cancer: Impact of Oncogenic Targets Regulated by Tumor Suppressive miR-139-3p. International Journal of Molecular Sciences,23(19),11616.
4.Kosei Mori, Kazuki Yamasaki, Yuki Morimoto, Takashi Kinoshita, Shunichi Asai, Tomoyuki Arai, Tomohisa Iinuma, Syuji Yonekura, Toyoyuki Hanazawa.(2022) .Noteworthy Factors to Decide Therapeutic Strategy for Carcinoma ex Pleomorphic Adenoma of Parotid Gland: A Preliminary Study Statistical Analysis of 22 Cases from Single Institution. Life (Basel),23(7),1685.
5.Shunichi Asai, Yusuke Goto, Kengo Tanigawa, Yuya Tomioka, Mayuko Kato, Keiko Mizuno, Shinichi Sakamoto, Naohiko Seki.(2022).MiR-15b-5p inhibits castration-resistant growth of prostate cancer cells by targeting the muscarinic cholinergic receptor CHRM3. FEBS Letters,
6.Kengo Tanigawa, Shunsuke Misono, Keiko Mizuno, Shunichi Asai, Takayuki Suetsugu, Akifumi Uchida, Minami Kawano, Hiromasa Inoue, Naohiko Seki.(2022). MicroRNA signature of small-cell lung cancer after treatment failure: impact on oncogenic targets by miR-30a-3p control. Molecular Oncology,17(2),328-343.
7.Kurita J, Yonekura S, Iinuma T, Yoneda R, Imamoto S, Hanazawa T, Kawasaki Y, Namiki T, Okamoto Y.(2022). Evaluation of shoseiryuto for seasonal allergic rhinitis, using an environmental challenge chamber. World Allergy Organ J,15,100636.
8.Iinuma T, Kiuchi M, Hirahara K, Kurita J, Kokubo K, Yagyu H, Yoneda R, Arai T, Sonobe Y, Fukuyo M, Kaneda A, Yonekura S, Nakayama T, Okamoto Y, Hanazawa T .(2022) Single-cell immunoprofiling after immunotherapy for allergic rhinitis reveals functional suppression of pathogenic TH2 cells and clonal conversion. J Allergy Clin Immunol,150,850-860.
9.Yoneda R, Iinuma T, Sakurai D, Kurita J, Arai T, Sonobe Y, Yonekura S, Okamoto Y, Hanazawa T.(2022).Complement Factor H Is an Early Predictive Biomarker of the Therapeutic Efficacy of Sublingual Immunotherapy for Japanese Cedar Pollinosis. Pathogens,11,1280.
10.Tsuji K, Aoki A, Onodera A, Kiuchi M, Kokubo K, Morimoto Y, Iinuma T, Hanazawa T, Nakayama T, Hirahara K.(2022). Characterization of eosinophils and natural killer cells in nasal polyps and peripheral blood in eosinophilic chronic rhinosinusitis patients.Allergology International : Official Journal of the Japanese Society of Allergology, 72(2):335-338
11.Yonekura S, Gotoh M, Okano M, Kurokawa T, Maekawa Y, Okubo K, Okamoto Y.(2022). Japanese cedar pollen sublingual immunotherapy is effective in treating seasonal allergic rhinitis during the pollen dispersal period for Japanese cedar and Japanese cypress. Allergol Int,71,140-143.
12.Ichiro Fukumoto.(2022).Preoperative simulation using three-dimensional printer in four temporal bone surgeries. Clinical Case Reports
13.Kurokawa T, Yonekura S, Gotoh M, Okano M, Maekawa Y, Okubo K, Okamoto Y.(2022). Efficacy of Japanese cedar pollen sublingual immunotherapy tablets for Japanese cypress pollinosis. Journal of Allergy and Clinical Immunology: Global
1. 山崎一樹, 花澤豊行, 栗田惇也, 三田恭義, 新井智之, 飯沼智久, 大塚雄一郎, 米倉修二「経鼻内視鏡下に切除し得た鼻腔悪性黒色腫例 両側鼻腔アプローチのための鼻中隔粘膜弁挙上の工夫」 日本鼻科学会会誌,61,12,640-647.
2. 飯沼智久「頭頸部がんと再生医療(iPS-NKT)」耳鼻咽喉科,2,11,642-646.
3.武山雄貴, 福本一郎, 米倉修二, 山崎一樹, 飯沼智久, 木下崇, 三田恭義, 松葉義大, 白石健悟, 森昂生, 根本俊光, 花澤豊行「当科で手術加療した外耳道腺様嚢胞癌の2例」頭頸部外科,32,173-178.
4.花澤豊行, 山崎一樹, 新井智之, 飯沼智久, 木下崇, 福本一郎, 鈴木猛司, 米倉修二「【頭蓋底病変へのアプローチ】鼻副鼻腔がんの眼窩・頭蓋底進展例における内視鏡手術の適応と限界」耳鼻咽喉科,2,454-458.
5.米倉修二, 山崎一樹, 新井亮, 園部侑里, 花澤豊之「耳下腺癌との鑑別を要したメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患例」耳鼻咽喉科臨床,115,323-331.
6.米倉修二「【アレルギー性鼻炎・花粉症の保存的治療法の新展開】免疫療法」アレルギーの臨床,42,995-998.
7.米倉修二「【アレルギー性疾患を理解する 新たな国民病の克服に向けて】アレルギー性疾患診療のポイント 花粉症および通年性アレルギー性鼻炎」Medical Practice,39,1135-1139.
8.米倉修二「免疫療法の新たな展開-発症予防,併存疾患への影響も含めて】長期寛解・治癒の可能性」Allos Ergon,2,696-702.
9.米倉修二, 米田理葉「【耳鼻咽喉科医が知っておきたい薬の知識-私はこう使う-】小児のアレルギー性鼻炎に対する診断と薬物治療のポイント」ENTONI,270,108-117.
10.佐永田健太「妊娠後期に発症し保存的治療で治癒が得られたGradenigo症候群例」耳鼻咽喉科臨床, 115,477-484.
11.山﨑一樹「経鼻内視鏡下に切除し得た鼻腔悪性黒色腫例—両側鼻腔アプローチのための鼻中隔粘膜弁挙上の工夫−」日本鼻科学会誌,61,640-647.
12.新井智之「好塩基球とIgEに着目したスギ花粉症感作・発症に対する新規診断法の確立に向けた研究」アレルギーの臨床,43(4): No.582,53(283)-58(288).
13.須藤智美「突発性難聴に対するステロイド鼓室内投与の11例」耳鼻咽喉科臨床,116-2,113-118.
14.宮永一真, 三田恭義「扁桃周囲膿瘍後に感染性火星動脈瘤を生じた一例 」口腔・咽頭科,36(1),54-58.
15.平野美聡, 三田恭義「口蓋に発生した小唾液腺MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫の1例」口腔・咽頭科,36(1),42-47.
・基盤 (C) 花澤 豊行「鼻副鼻腔原発の粘膜型悪性黒色腫の免疫ゲノム解析および重粒子線の影響解明」2021-2023
・基盤(C) 米倉 修二「NKT細胞免疫系アプローチを用いたアレルギー性鼻炎に対するワクチン療法の開発」2021-2023
・基盤(C) 飯沼 智久「シングルセル解析からつなげる舌下免疫療法の作用機序の解明」2022-2024
・基盤(C) 吉川 直子「頭頸部扁平上皮癌・スーパーエンハンサー解析に基づく抗癌耐性機構の解明」2022-2024
・若手研究 新井 智之「ダニアレルギー性鼻炎の新規診断法と舌下免疫療法の効果に関するバイオマーカーの確立」2022-2024
・若手研究 米田 理葉「鼻ポリープに常在する特殊なメモリーT細胞に着目した好酸球性副鼻腔炎の病態解明」2022-2024
・若手研究 三田 恭義「HNSCCにおけるTLSとstem-like T細胞の相互作用の解明」2022-2024
・若手研究 栗田 惇也 「α-galcerシートとNKT細胞免疫系を用いたアレルギー性鼻炎の新規治療法」2020-2023
・理化学研究所 飯沼 智久(分担)「頭頸部癌患者に対するiNKT細胞療法、及び免疫療法の効果に影響する免疫応答の網羅的解析」
・AMED 飯沼 智久(分担)「IL-33活性化の新規制御機構解明による難治性アレルギー性気道炎症の治療法開発」
・AMED 飯沼 智久(分担)「気道組織における病的リモデリング(線維化)機構の解明と病態制御治療戦略の基盤構築」
・AMED 米倉 修二(分担)「難治性アレルギー性鼻炎、難治性花粉症の定義付けとガイドラインへの反映」
1. 米倉修二, 舩越うらら, 栗田惇也, 飯沼智久, 花澤豊行「出生コホート研究(CHIBA-study)におけるアレルギー性鼻炎発症の実態調査」第2回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
2. 飯沼智久, 黒川友哉, 栗田淳也, 山崎一樹, 米倉修二, 花澤豊行「頭頸部がん患者に対する、iPS-NKT細胞を用いた免疫細胞療法の開発」第2回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
3. 米倉修二「アレルギー性鼻炎治療に残された課題に向き合う」第2回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
4.茂木愛「分子標的薬及び免疫チェックポイント阻害薬使用による肺転移縮小後に脳転移をきたした2症例」第123回日本耳鼻咽喉頭頸部外科学会総会・学術講演会
5.浅井俊一, 木下崇, 吉川直子, 花澤豊行「口腔扁平上皮癌におけるアクチン結合蛋白Coronin familyの分子病理学的解析」第123回日本耳鼻咽喉頭頸部外科学会総会・学術講演会
6.栗田惇也「COVID-19ワクチン接種を契機に発症したVocal Cord Dysfunctionの2例 」第123回 日本耳鼻咽喉科学会総会
7.浅井俊一, 加藤郁子, 峯村周, 常泉健太, 大島早智, 駒綾香, 笠松厚志, 花澤豊行, 鵜澤一弘「口腔扁平上皮癌におけるCORO2Aの機能とマイクロRNAによる発現異常」第46回日本頭頸部癌学会
8.飯沼智久, 花澤豊行「iPS-NKT細胞を用いたがん免疫療法の医師主導治験へ至るまで」第46回日本頭頸部癌学会
9.Tomohisa Iinuma「Single cell immune profiling after sublingual immunotherapy for allergic rhinitis」EAACI_Hybrid_Congress_2022
10.米倉修二, 新井智之, 山崎一樹, 花澤豊行「当科における中咽頭癌放射線治療例の経鼻胃管管理の検討」第84回日本耳鼻咽喉科臨床学会総会・学術講演会
11.新井智之 「初診時より遠隔転移を認め、手術・外照射後にバンデタニブ投与を行った甲状腺髄様癌の1例」第84回日本耳鼻咽喉科臨床学会総会・学術講演会
12.福井淳平「鼓膜から外耳道まで伸展していた鼓膜内真珠腫例」第100回日耳鼻千葉県地方部会学術講演会
13.岸野愛子「鼻中隔に発生したEosinophilic Angiocentric Fibrosisの一例」第100回日耳鼻千葉県地方部会学術講演会
14.松山浩之「EBウイルスとマイコプラズマの重複感染による伝染性単核球症の一例」口腔咽頭科学会
15.鈴木猛司, 関洋介, 松村倫明, 伊狩潤, 花澤豊行, 北方敏敬「24時間下咽頭インピーダンス検査により異常高位逆流を認めた難治性慢性咳嗽に対するP-CAB治療効果の検討」第24回日本咳嗽学会
16.飯沼智久, 栗田淳也, 米田理葉, 新井智之, 米倉修二, 花澤豊行「舌下免疫療法によるTh2細胞の機能抑制と抑制性T細胞への分化の可能性」第71回日本アレルギー学会
17.山崎一樹「経鼻内視鏡下に切除し得た鼻腔悪性黒色腫例-両側鼻腔アプローチのための鼻中隔粘膜弁挙上の工夫-」第61回日本鼻科学会 総会・学術講演会
18.米倉修二「アレルギー性鼻炎に対する薬物療法のアップデート」第61回日本鼻科学会 総会・学術講演会
19.米倉修二「アレルギー性鼻炎診療の最先端 ここまで進んだ!免疫療法」第61回日本鼻科学会 総会・学術講演会
20.新井智之「浸潤型副鼻腔真菌症や悪性腫瘍との鑑別を要し診断に苦慮したANCA陰性多発血管炎性肉芽腫症の1例」第61回日本鼻科学会総会・学術講演会
21.飯沼智久, 栗田淳也, 新井智之, 山崎一樹, 米倉修二, 花澤豊行「舌下免疫療法の効果とTh2細胞におけるMusculinの発現の関連」第61回日本鼻科学会総会・学術講演会
22.栗田惇也「好酸球性副鼻腔炎ポリープ中のtissue resident memory T cellに関する検討」第61回日本鼻科学会総会・学術講演会
23.岸野愛子「診断に苦慮した鼻中隔腫瘍2症例の検討」第61回日本鼻科学会総会・学術講演会
24.鈴木猛司「見逃しやすいLPRD(咽喉頭逆流症)」第36回 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 秋季大会
25.森昂生, 山﨑一樹, 花澤豊行「耳下腺原発の多形腺腫由来癌22例の検討-臨床学的特徴及び予後因子にもとづいた治療戦略-」日本唾液腺学会
26.Tomohisa Iinuma「Single cell immune profiling detected sublingual immunotherapy-induced changes in T cell population」Chinese College of Allergy and Asthma 2022
27.鈴木猛司, 亀田茜, 米田理葉, 新井智之, 山崎一樹, 米倉修二, 花澤豊行「喉頭癌における咽喉頭逆流症の関与の検討」第32回日本頭頸部外科学会
28.亀田茜「化学放射線療法後に総頸動脈に仮性動脈瘤を生じた下咽頭癌3例について」第32回日本頭頸部外科学会
29.亀田茜「下咽頭癌の化学放射線療法後に総頸動脈に仮性動脈瘤を生じた3例」第101回日耳鼻千葉県地方部会学術講演会
30.岸野愛子「当科で経験した側頭下窩膿瘍15例について」第101回日耳鼻千葉県地方部会学術講演会
31.鈴木猛司「慢性咳嗽と音声障害」第35回喉頭科学会総会