千葉大学大学院医学研究院
呼吸器病態外科学
千葉大学病院
呼吸器外科
肺癌
肺癌は肺に発生する悪性腫瘍の中で最も頻度の多いものです。2000年国民衛生の動向では,肺癌は男性では胃癌をぬき,部位別悪性新生物死亡率の第1位,女性では第3位となり,未だ増加傾向を示しています。当科では、診断から手術、再発後の抗がん剤治療、緩和医療も含めて最新の知見に基づいた治療を提供しております。
また、肺癌や食道癌、他癌による気管・気管支内転移による呼吸困難症例に対しても、気道インターベンションを行っております。癌治療において呼吸困難の症状が生じた場合は一度ご相談ください。
転移性肺腫瘍
肺は悪性腫瘍の転移の標的臓器のひとつであり、各臓器癌から血流(血行性転移)、リンパ流(リンパ行性転移)を介して肺に転移してきたものを転移性肺腫瘍(転移性肺癌)と呼びます。部分切除が困難な症例であっても区域切除など術式を工夫することで手術を行うことが可能です。
治療としての手術以外にも、判断に悩んみ手術を行ってほしい場合は診断目的の手術としてご紹介ください。
肺動静脈瘻、気管支肺動脈瘻、肺底区動脈大動脈起始症
肺の中、胸腔内で肺動脈と静脈が交通してしまったり、圧の高い大動脈から発達した気管支動脈が肺内で肺動脈と交通してしまったりするような肺に異常はないが血管に異常を認めているような疾患です。血管内インターベンションという血管内にコイルで塞栓したりすることで治療することが第一となりますが、血管内インターベンションが困難な症例などは手術適応となります。当院では呼吸器内科と協力し、最も良い治療を提案しております。
胸腺腫瘍・重症筋無力症
胸腺腫が疑われる症例は基本的には第一が手術適応となります。胸腺腫は長期的に放置すると転移を引き起こすため、良性腫瘍とは思わず外科切除の適応となりますので、積極的にご紹介ください。また、胸腔内で進行しており手術で切除困難と思われるような症例に対しても術前導入療法を行った後に腫瘍減量目的の手術を行うことで長期的な予後を目指すことも行っております。
奇形腫
奇形腫は成熟奇形腫、未熟奇形腫、悪性奇形腫に分類されます。上縦隔と前縦隔に好発し、全体の80~90%は良性の奇形腫です。
神経原性腫瘍
交感神経、肋間神経などの神経から発生する腫瘍です。交感神経幹由来のものが多く、胸の後方(後縦隔といいます。)に発生するものが多いです。基本的には手術を行わなくても良いことが多いですが、手術希望がある場合はご紹介ください。
自然気胸、難治性気胸、再発気胸
再発の気胸は基本的には手術適応となります。初発であってもドレナージで改善しない症例(1週間程度)は、膿胸を発症する危険性があるためご紹介ください。
良性腫瘍
肺の良性腫瘍は、発生頻度は低いですが、その種類は豊富です。大部分を過誤腫(約50%を占めます)が占め、そのほかに硬化性血管腫、軟骨腫、脂肪腫、平滑筋腫などがあります。肺の良性腫瘍は、その発生部位から、気道(気管支)の内腔に発育するもの(中枢発生)と、肺の中に発育するもの(末梢発生)に大きく分類されます。良性と思われていても切除した場合に肺癌であることが判明する場合もありますので、体力的に問題ないのであれば手術をお勧めします。
肺真菌症(肺アスペルギルス症、肺コクシジオイデス症)
肺の中にカビが生えてしまうと抗真菌薬では非常に難治性になる場合があります。その場合に手術治療を行うことがあります。強い炎症を伴うため手術は非常に難渋します。
また、肺コクシジオイデス症といった特殊な症例も扱っていますので、真菌症の治療にお困りの場合はご紹介ください。
膿胸、縦隔炎
肺が収められている体腔のことを胸腔といいます。この胸腔内に膿性液の貯留した状態が膿胸です。罹患期間が3ヶ月以内の場合を急性膿胸、3ヶ月以上の場合を慢性膿胸といいます。慢性膿胸となると治療に非常に難渋することが多いため、膿胸を疑った時点で治療方針についてご紹介いただければ治療に難渋することは多くありません。膿胸の治療のお困りの場合はご紹介ください。
肺移植
呼吸器内科と協力し、治療をしても進行性に悪化する疾患に対して行っております。大前提として、対象年齢は両肺移植の場合は55歳未満、片肺移植の場合は60歳未満となっております。また活動性の感染症がある場合は適当とはなりません。もし移植治療の適応かどうか判断に困る場合は日本移植学会のホームページから適応基準を見ることができますのでご一読ください。