臨床グループ

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消化管グループ

メンバー

加藤 順  診療教授・内視鏡センター長
松村 倫明  診療准教授
齊藤 景子  医員
沖元 謙一郎  診療講師・グループ長
對田 尚  診療講師 [内視鏡センター]
太田 佑樹  診療助教
金子 達哉  医員 [腫瘍内科]
石川 翼  医員 [内視鏡センター]
黒杉 茜  医員
園田 美智子  医員 [内視鏡センター]
後藤 千尋  医員 [内視鏡センター]
髙橋 彩月  医員 [内視鏡センター]
堀尾 亮輔  大学院生
間宮 幸代  大学院生
大山 湧平  大学院生
仲澤 隼人  大学院生
古谷 誠  大学院生
小関 悠介  大学院生
小澁 雄史  大学院生
朱 信彰  大学院生
向井 昌平  大学院生
伊藤 聡之  大学院生
大橋 拓也  大学院生
尾崎 友美  大学院生
松原 良樹  大学院生

グループ紹介

 当グループは、加藤順 内視鏡センター長を中心に、スタッフ9名(准教授、講師、助教、医員含め)、大学院生12名で、日々消化管疾患の診療と研究にあたっております。消化管疾患は多岐にわたり、患者さんも大変多く、いまだ原因不明な疾患も数多く存在しております。消化管疾患を患っている多くの患者さんの為に、また未来の医療を、“より患者さんにやさしく・低侵襲な”方向へと変えるべく日々活動しております。

 対象としている疾患は、良性消化管疾患から、原因不明の難治性疾患消化管癌(食道癌、胃癌、大腸癌)の内視鏡治療まで幅広く、診療および研究を行っております。若手の先生に対しては、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)や、ダブルバルーン小腸内視鏡など内視鏡関連手技のトレーニング、および専門医資格取得のサポートも積極的に行っております。

 研究に関しては、加藤直也教授のもと、日々の臨床における疑問点・解決したい課題を持ち寄り、個々がやりたい研究を行う事ができる自由で明るい雰囲気で活動しております。当グループで一緒に活動してくれる先生・および、内視鏡関連機器の開発に向けた共同研究をして頂ける企業を募集しております。当グループをよろしくお願い致します。

Clinical indicator

2022年(消化器内科担当分のみ)

・上部内視鏡検査 4083件
・下部内視鏡検査 2160件
・DBE小腸内視鏡 156件
・カプセル内視鏡   52件
・上部消化管ESD   121件 / 上部消化管EMR 73件
・下部消化管ESD     59件 / 下部消化管EMR 413件

専門領域(取り扱う疾患や研究テーマ)

主に対象としている疾患

・炎症性腸疾患
・食道扁平上皮癌
・バレット食道・食道腺癌
・胃癌
・十二指腸腫瘍
・大腸癌
・胃食道逆流症
・好酸球性消化管疾患
・便秘症
・その他消化管関連稀少疾患

我々は消化管領域を中心に診療・研究を進めています。当グループの診療および研究の特徴をいくつか紹介させていただきます。
1.炎症性腸疾患の病態解明・新規治療の開発 

 潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)およびクローン病(Crohn's disease)は、欧米諸国において有病率が高い疾患ですが、本邦でも若年者層を中心に患者数が増加しており、社会的にも対策が求められています。また、腸管ベーチェット病という日本や東洋諸国に多い腸管の難治性疾患もしばしばみられます。これらの疾患は口から肛門までの消化管のいずれにも粘膜障害を来しうる一方で、眼科疾患(虹彩炎、結膜炎)、整形外科疾患(関節炎、強直性脊椎炎)、皮膚疾患(壊疽性膿皮症、結節性紅斑)、血栓症、肝胆道疾患(原発性硬化性胆管炎)などの腸管外疾患を併発することが知られています。原疾患の治療難渋のみでなくこれらの合併症を発症することにより生産年齢の世代の患者の社会復帰が困難となる状況もしばしばみられます。
 当科では、これら炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease: IBD)に対して二十年来1000名以上の総合的診療実績を積み重ねています。最近では顆粒球単球除去療法、免疫抑制療法(アザチオプリン/メルカプトプリン、タクロリムス、シクロスポリン))、抗TNFα抗体製剤(インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ)や、さらに新しい分子標的薬(抗インテグリン抗体、抗IL12/IL23抗体、JAK阻害薬))などの新規治療法・治療薬を活用し、我が国をリードする臨床成績を報告し、また、多くの新薬の開発治験に協力しています。この分野においても近隣施設と協力し、「IBD循環型地域医療連携体制」を構築し、患者数が増加する中でお一人お一人がきめ細かい診療を受けて頂ける工夫をしております。

 また半島であるがゆえに患者移動が少ないという千葉県の地理的な条件を生かし、県内の15病院と協力し「本邦における炎症性腸疾患患者の多施設共同前向き長期観察研究 Features Japanese Patients with Inflammatory Bowel Diseases: A multicenter prospective long observational study (Far East 1000)」を現在行っています。本研究では炎症性腸疾患患者の病勢、治療実態を長期間に調査するだけでなく、上記の腸管外の合併症にも注目し、その合併頻度や病態解明を目指しています。

2.消化管癌に対する内視鏡治療検体を用いた遺伝子学的検討

 当グループでは食道、胃、十二指腸、大腸の腫瘍に対する内視鏡治療および治療検体を用いた遺伝子学的解析を積極的に行っています。癌とその周囲の粘膜や再生粘膜の遺伝子変異を次世代シークエンサーにより解析することで、正常粘膜から前癌病変、癌の発生に至るまでの網羅的な発癌機構を明らかにし、その解明に努めています。また、近年報告が増加している食道バレット腺癌に対しても積極的に診断から治療までを行い、食道運動機能異常やpH検査と遺伝学的特徴の関連性も解析しています。

3.十二指腸腫瘍の診断と内視鏡治療

 十二指腸乳頭部以外に腫瘍を認めることは稀であり、これまでは重視されていませんでした。しかし、近年、早期十二指腸癌が内視鏡検査で発見され、内視鏡による治療を受ける例が増えてきました。これは、内視鏡の画像技術の向上も関連があるかもしれません。十二指腸における内視鏡治療は、技術的に困難な例も多く、多くの症例の治療を行っている専門機関での治療が勧められます。当科では、十二指腸腫瘍の診断、治療法の確立を目指して、積極的に検査、治療を行っております。

4.新規デバイスを活用した小腸疾患の診断・治療 

 カプセル小腸内視鏡(video capsule endoscopy: VCE)、バルーン小腸内視鏡(balloon endoscopy)など新規デバイスの開発により、以前は対応困難であった小腸出血・小腸腫瘍など小腸疾患の診断および治療が可能になりました。当科では、カプセル小腸内視鏡による小腸疾患の診断について近隣施設と協力し「カプセル小腸内視鏡診断ネットワーク」を構築し、当施設のみならず近隣施設における小腸疾患の診断にも積極的に協力し、小腸疾患の早期診断に努めています。また、ダブルバルーン小腸内視鏡(double-balloon endoscopy: DBE)を活用し、以前は内視鏡的には対応困難であった小腸出血・小腸腫瘍などの診断および治療に積極的に取り組んでおります。クローン病などによる小腸狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術(endoscopic balloon dilatation: EBD)の経験も豊富です。

5.難治性胃食道逆流症に対する食道内圧検査(High Resolution Manometry)、24時間胃食道pH・インピーダンス検査(MII-pH)を用いた診断・治療

 胸やけなどの症状を有する胃食道逆流症の患者さんは近年増加しております。一般的にPPI(プロトンポンプ阻害剤)の内服にて症状が改善するとされていますが、約半数の方で症状が改善しないと近年報告されております。そのような今までの診療では改善のみられなかった方を対象に、食道運動機能検査等を行い、症状の原因診断から治療までを一貫して行っております。

6.好酸球性食道炎の診断・治療

 消化管のアレルギー疾患である好酸球性胃腸症は今まで稀であるとされ、重視されておりませんでした。しかしながら、近年、好酸球性食道炎を初め、消化器症状を有する方に、好酸球性疾患が含まれていることが報告されております。現在、当院では、これら好酸球性胃腸症に関しても積極的に検査から治療までを行っております。また免疫発生学教室にて病態解明に向けた基礎研究もおこなっております。

7. Ussing chamber experimentを用いた消化管粘膜の膜透過性評価による病態解明を目指す研究

 近年、炎症性腸疾患や機能性ディスペプジア、過敏性腸症候群といった消化器疾患だけでなく、糖尿病や花粉症といった消化器以外の疾患でも消化管粘膜の透過性亢進が報告されており疾患の発症や病態との関連が示唆されています。現在、Ussing chamber experimentを用いて内視鏡下に採取した組織検体の粘膜透過性を評価し、その病態解明を目指すとともに、その分子機構も明らかにすべく基礎研究も計画しております。

8.コールドポリペクトミーの安全性・有効性についての研究

 大腸のφ1cm未満のポリープに対しては、これまでは内視鏡的粘膜切除術(EMR)が主に行われてきました。EMRには通電が伴うため、一定の確率で合併症を生じ得、特に治療数日内に生じる後出血は珍しいことではありません。これらの背景から、近年通電を伴わないコールドポリペクトミーが欧米を中心に行われるようになってきております。ただ長期的成績などいまだはっきりしていない要素もあります。当院では大腸におけるコールドポリペクトミー後の局所再発率の検討などのほか、十二指腸におけるコールドポリペクトミーの安全性・有効性の研究も行っております。

9. AI(人工知能)を用いた内視鏡診断システムの研究・開発

 近年急速に発達しているAI(artificial intelligence)技術を用いた内視鏡診断サポートシステムの研究・開発を、AI関連企業、内視鏡メーカーとの共同開発として行っております。

10.その他、診断・治療が困難な特殊な消化管疾患への対応

 当グループでは、上記の他にも、診断・治療が困難な特殊な消化管疾患に対する対応を行っております。これらの病態に対する対応や経験については、他施設の医師にも共有して頂く必要があり、当グループの経験は積極的に学会発表・論文発表しております。

11.基礎研究

 当グループでは、胃粘膜、大腸粘膜の再生メカニズム、大腸腫瘍の病態、IBDにおける腸管上皮細胞の解析、小腸粘膜上皮の遺伝子発現と糖代謝との関連性などを臨床検体、培養細胞、疾患モデルマウス等を用いて、分子生物学的手法により解析を進めています。これらの研究を通じて得られた知見から新規治療薬の開発を目指した研究を進めています。また、内視鏡検査時に、消化管粘膜の脆弱性を客観的に評価し、病態との関連性を検討する検討を現在行っております。
 これら基礎研究の研究成果については、業績欄をご参照ください。

ESDハンズオンセミナー

2023年11月10日(金) 内視鏡センター主催ESDハンズオンセミナーを開催しました。

2ESDの基礎的な技術を身に着けてもらい地域医療に貢献できるドクターの育成を目的に
院内外の医師20名ほどが参加をしました。

ESDトレーニングの様子

千葉大学病院クリニカル・スキルズ・センター使用

内視鏡センターの活動

2023年メドテック・リンクセンターの支援で、検査用品の開発を行いました。

内視鏡用まくら(発案者:太田先生、藤江技師)
 職員の声かけが聞こえるよう、耳があたる部分を空洞に。下部を取り外して、高さの調整が可能。

廃棄物処理パック(発案者:藤江技師)
 内視鏡検査時に吸引する体液や便を廃液するボトルは臭いと廃棄の際の被ばくが問題。災害時の使い捨てトイレに使う技術を応用して解決!

学会発表

国際学会(春DDWアメリカ、秋UEGWヨーロッパ、冬ECCOヨーロッパ)で毎年、研究成果を発表しております。

 ・2024年10月(UEGW at Vienna, Austria)

 ・2024年5月(DDW at Washington, DC, USA)

 ・2019年5月(DDW at San Diego, USA)

 ・2018年11月(UEGW at Vienna, Austria)

メンバー紹介

大学院4年 金子達哉先生

大学院4年 金子達哉と申します。
 消化管グループで内視鏡検査/治療を学びつつ、好酸球性食道炎や食道アカラシアといった食道良性疾患についての研究を行っております。いずれも本邦で稀少な疾患であるものの、当院では食道内圧検査を積極的に行っており、関連病院の皆様方のご協力もあって診療の機会に恵まれております。また好酸球性食道炎は同じ慢性的な好酸球性炎症疾患である喘息と良く似た病態であることが考えられております。当院には喘息について深い知見を持つ免疫発生学教室があり、2019年10月より同教室にてご指導を頂き基礎研究も行っております。
 臨床・基礎の両面において非常に恵まれた環境であり、頂いた機会を活かして、少しでも自分の知見を拡げるべく精進して参ります。
 今後ともよろしくお願い申し上げます。