救急・集中治療医について
救急医は、最前線で「目の前の命を救う」ことに全力を尽くす、まさに「医の原点」に立つ存在です。臓器別・領域別の専門性にとらわれず、内因性疾患から外傷まで、軽症から重症まで幅広い診療能力を持つジェネラリストとして、患者の状態を迅速に判断し、適切な治療を行います。救急の現場ではチームワークが不可欠であり、他診療科や多職種との連携が重要で、救急医はその中心的役割を担います。また、救急医が活躍する現場はDr。カーやDr。ヘリを用いたプレホスピタルケアや災害医療、教育、医療行政など多岐にわたり、多様なフィールドでその能力を発揮することが可能です。
さらに、救急外来だけでなく、その後の入院診療や集中治療までシームレスに担うことで、一貫した患者ケアが実現します。集中治療は、高度な医療技術を駆使して救命につなげる「医の最先端」の現場であり、医療の発展とともに進化し続ける領域です。私たちはこの領域でも重要な役割を果たすことができます。救急と集中治療という医の「原点」と「最先端」を両立できるこの分野は、非常にやりがいがあり、患者さんに貢献できる領域です。
千葉大学病院専攻医プログラムについて
<基本設計について>
- 千葉大学病院の救急科専攻医プログラムは、大学病院1年間・連携施設2年間を基本としたプログラムです(適宜調整が可能です)。
- 連携施設は3ヶ月〜2年の期間で複数施設をローテーションします。
<千葉大学病院について>
- 千葉大学病院は、人口約100万人の千葉医療圏の中核を担う救命救急センターであり、多くの救急症例を経験できます。2次から3次救急の救急車を積極的に受け入れており、年間約3500台程度の救急車に対して救急科が初療を行っています。
- 県内最大規模の集中治療室を備え、人工呼吸器やECMOを装着した最重症患者を千葉市内外から集約し診療を行っております。
- 各分野のスペシャリストが揃っており、実務を通した学習(On the job training)に加え、レクチャーやシミュレーション教育などのOff the job trainingも充実しています。
<連携施設について>
- 救急医療は、施設や地域によって経験できる症例が大きく変わることが特徴です。千葉大学病院の救急専門医プログラムの連携施設はER・外傷・集中治療・プレホスピタル・地域医療などそれぞれに強みや特徴があり、複数の施設で臨床経験を積むことで幅広い診療能力を磨くことが出来ます。
- 連携施設には医局関連施設である成田赤十字病院、君津中央病院(ドクターヘリ基幹病院)、東千葉メディカルセンター、千葉県総合救急災害医療センター(独立型救命センター)が含まれます。その他、専攻医のニーズ・希望に合わせ医局関連外の施設とも積極的に連携をとっており、千葉県内外の多くの施設とも連携を結んでいます。
- 特に千葉県の救命救急センターはそれぞれに特色が強く魅力溢れる施設が揃っており、千葉県内だけでも充実したプログラム構築が可能です。
<実際のプログラムの組み立てについて>
- 当院のプログラムの特徴は「自由」と「柔軟性」です。専攻医の希望やライフイベントに応じてオーダーメイドにプログラムを設計します。プログラム開始後も頻回にプログラム担当者が面談を行い、希望を聴取し、専攻医個人個人に最適なプログラムを共同で創り上げていきます。家庭やプライベートの都合で時短勤務が必要な場合、県外への異動が必要な場合でも支援いたします。
- いわゆる「医局人事」によって望まない施設での研修を行うことはありません。千葉県内の連携施設での研修で完結する場合、多くの施設が通勤可能な範囲にあるため引っ越しが不要なことも当プログラムの特徴です。
<実際のプログラム組み立て例>
プラン1) 総合診療医のダブルボードを目指す専攻医
1年目:千葉大学病院
2年目:千葉労災病院(半年間)・君津中央病院(半年間)
3年目:東千葉メディカルセンター
*消化管内視鏡やプレホスピタルなどの経験が可能な連携施設での経験を積みながら、プログラム修了後の総合診療研修を目指して3年目は地域医療との連携が強い救命センターで研修を行う。
プラン2) プログラム中に外傷外科医を目指すようになった専攻医
1年目:八戸市立市民病院
2年目:千葉大学病院
3年目:千葉県救急総合災害医療センター(外科研修を開始)
*青森県の救命センターでの研修を通して、外傷外科医を志すようになり、3年目は独立型救命センターである千葉県救急総合災害医療センターにて集中治療と外科の研修を並行して行う。
救急科専門医取得後の進路サポート
救急専門医取得後の進路は多種多様です。サブスペシャルティ研修、大学院での学位取得、また出産・育児などのライフイベントなどが重なることも多く、個々人に応じたキャリア支援を継続して行なっていきます。
<集中治療専門医の取得>
- 救急科専門医を取得後、救命センター・ICUでの研修を継続することで、2年間の研修を経て集中治療専門医の取得が可能となります。この期間に都立小児医療センターのPICUなどで小児集中治療に関する研修を行うことも可能です。
<サブスペシャルティ研修>
- 集中治療専門医以外のサブスペシャルティ研修のサポートも行っております。救急医療は他の領域との親和性が高く、サブスペシャルティ研修を行うことで救急・集中治療での臨床能力の向上にも繋がります。外科・総合診療・麻酔科・心臓血管外科・整形外科・脳神経外科・小児科・内科(内視鏡)・形成外科・感染症内科・放射線科(IVR)など個々人の希望に合わせてサブスペシャルティ研修の支援を行なっております。
- サブスペシャルティ研修を行うにあたって重要となるのは、「救急科からの研修に理解があること」や「限られた期間で多くの経験を積むこと」となります。千葉大学救急科では千葉県内外の多くの医療機関・診療科と良好な連携を結んでおり、サブスペシャルティ研修にあたって最適な環境で研修を行うことができます。
<ダブルボード取得について>
- 救急科専門医を取得した後、サブスペシャルティ研修として他の基本領域の専門医取得が可能です。他の基本領域のうち、外科・総合診療・整形外科・内科の場合は通常より1年短縮して専門医を取得することが可能です。
- 習得したサブスペシャルティ領域の修練が継続できるような勤務体制を支援いたします。
<大学院について>
- 大学院の進学も支援しており、研究を早期に開始することができます。(研究者の方へ)
2023年度 千葉大学医学部附属病院 救急科専門研修プログラム
救急科・集中治療部研修プログラム・パンプレット