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ECMOプロジェクト

ECMO(体外式膜型人工肺)とは

ECMO(Extracorporeal Membrane Oxygenation)は、心臓や肺が重篤な状態で機能しない患者に対して使用される生命維持装置です。血液を体外に取り出し、人工肺を通して酸素を供給し二酸化炭素を除去した後、再び体内に戻すことで、心臓や肺を休ませることができ、心臓や肺が回復するまでの「橋渡し」として機能します。

当院では医師・看護師・臨床工学技士で構成されるECMOチームを中心に、より質の高いECMOを施行できるよう、ECMOマニュアル作成、症例データベースの構築、トレーニングプログラム作成などを行っています。

 

千葉大学病院のECMOの特徴

千葉大学病院では、年間約50例前後のECMO症例を治療しており、国内でもトップクラスの症例数を誇っています。救急症例に加え、院内で急変した患者や院外から転院して受け入れる患者など、幅広いケースに対応しています。疾患の内訳としては、心肺停止や心原性ショックに対して行われるV-A ECMOが約8割を占め、残りは肺炎や呼吸不全に対するV-V ECMOとなっています。また、複雑な心不全・呼吸不全の合併症例に対して行われるV-AV ECMOなど、特殊なECMO治療も実施しています。

さらに、千葉大学病院は心移植・肺移植が可能な施設であるため、移植を見据えた長期間のECMO管理にも対応しています。また、Central ECMOやVAD(植込み型人工心臓)などの体外循環治療についても豊富な経験を有しています。

 

小児ECMO

当院のICUでは成人症例に加え、重症小児症例も受け入れており、小児に対するECMO治療の経験も豊富です。救急科・集中治療部の医師を中心に、小児科、小児外科、NICUの医師が密接に連携し、小児特有の病態に対して質の高い治療を提供しています。 

 

長距離搬送への取り組み

これまで、当院では多数のECMO症例を院外から転院搬送で受け入れており、長距離搬送に対応するためのマニュアルも整備しています。搬送手段としては、距離や症例に応じて空路(千葉市のヘリコプターを使用した搬送)と陸路の両方を活用しています。

特に陸路搬送については、2023年よりECMOカーを導入し、ECMO患者のより安全な長距離搬送が可能となりました。ECMOカーは揺れを抑える設計と広いスペースを備えており、ECMO装着中の重症患者の搬送に最適です。現在、年間およそ5〜10症例のECMO患者を院外から受け入れ、その搬送にECMOカーを活用しています。

 

 

教育とトレーニング

院内:回路を用いたトレーニング(Water Drill),シナリオベースのシミュレーション(ECMO導入,ECMO患者の搬送等),ECMOに関する講演やMortality&Morbidityカンファレンスを定期的に行っています.
国内: “ECMOシミュレーションラボ”のプログラム・テキストを作成し,院外むけのコースを定期的に開催しています.

 

 

 

当院は、国内トップクラスのECMO症例数と規模を誇り、充実したトレーニング体制を整えています。ECMO治療に関する高度な技術と経験を学びたい研修医師の皆様を心よりお待ちしております。