教授挨拶

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教授挨拶(2019年)

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横手 幸太郎 教授

次の時代を切り拓く内科学を目指して

このたび、2019年1月1日をもって、教室名を「細胞治療内科学」から「内分泌代謝・血液・老年内科学」へ改称しました。心を新たに、代謝内分泌学、血液病学、そして高齢医学領域の診療と研究、人材育成に邁進したいと考えます。なお、医学部附属病院では、これまでと同様、横手が糖尿病・代謝・内分泌内科科長を、堺田惠美子が診療教授として血液内科科長を務めます。最新の高度な医療を患者さんへお届けすることはもちろん、きめ細かい親身な指導を通じて、アカデミックなマインドを備えた良医を目指す若手医師の研修サポートを行う所存です。

全身疾患を対象とすることが当教室の特徴であり、トレーニングを経て習得できる専門医資格は、内科専門医、糖尿病専門医、内分泌代謝科専門医、血液専門医、老年病専門医、肥満症専門医、動脈硬化専門医など多岐にわたります。教室の前身である“第二内科”の伝統に基づき「specialistである前にgeneralistであれ」をモットーとした医師の育成を心がけています。自身の専門領域については高度な医療を実践し、専門外の病気については最適な専門家へと紹介することのできる“総合的な”内科専門医を育む環境を、良質な県内外の連携病院と協力しながら提供し続けたいと考える次第です。

現代の医療は、過去に得られたエビデンスやそれに基づいて策定されたガイドラインに沿って行われます。しかし、それだけでは、治療法の見つかっていない疾患を克服することができません。我々は、50年後の医学を見据え、基礎研究・臨床研究・国際共同治験などを通じて新たな治療手段を開発し、エビデンスやガイドラインを使うだけでなく“創る”ことを目指して日々研鑽しています。

治療の進歩や寿命の延長に伴い、病院を受診する患者さんの高齢化が年々進んでいます。その結果、糖尿病にしても血液疾患にしても、高齢の患者さんをどのように治療するか、若い患者さんと同じように扱ってよいのかが、世界中で議論されるようになりました。特に、人類史上前例のない超高齢社会を迎えたわが国の経験は、海外からも注目されています。かねてから老年医学を一つの柱としてきた当教室では、世界に誇る遺伝的早老症の研究成果や附属病院高齢者医療センターでの活動、県下在宅医療施設との連携による研修などを通じ、科学的に老化を理解し、高齢者の特性に配慮した診療と教育をあらゆる疾患に応用して、さらなる高齢化に対応していきます。

以上のような研究と診療、教育を実践し、さらに発展させるため、当教室は、多様な価値観を許容できる集団でありたいと考えます。すなわち、学会の専門医取得を目指す人はもちろん、研究で世界を驚かす発見をしてみたい人、子育てをしながら可能な時間に診療を行う女医さん、大学院へ進む人・進まない人など、多種多様な興味や個性を持つ仲間が集まってこそ、時代の変化に応じて、真に患者さんの役に立つ医療や研究を実現できると思います。

活躍の場は世界中へ拡がっています。自身の研究や診療をより深めるため、常に仲間の誰かが、欧米への海外留学や研修に出かけています。また、国内外からも数々の医師・医学研究者による訪問があり、その度に魅力的なセミナーやディスカッションが行われます。これからも、私たちと共に学び、最先端の研究や診療を通じて未来を切り拓いてくれる若い力が集い、未来へ向けての活力をもたらしてくれることを期待する次第です。

2019年1月
千葉大学大学院医学研究院 内分泌代謝・血液・老年内科学
教授 横手幸太郎