Andreas Vesalius(アンドレアス・ヴェサリウス,1514-1564) 西洋医学の歴史において最も影響力のある著作の一つである『De Humani Corporis Fabrica』(人体の構造について)は、ベルギーの解剖学者で医師のアンドレアス・ヴェサリウス(1514-1564)が28歳の時に構想・執筆したものである。初版を出版したときヴェサリウスはまだ30歳であった。ヴェサリウスは現代人体解剖学の創始者といわれ、かつてベルギーで発行されていた5000フラン紙幣に肖像が使用されていた。1564年、彼は聖地巡礼の旅の途中で船が難破し、ザキントス島で49歳で亡くなっている。
『De Humani Corporis Fabrica』(人体の構造について) アンドレアス・ヴェサリウス(1514-1564)が急進的な『人体の構造について』を発表した当時、ヨーロッパの医学界ではまだアリストテレスやガレノスの古文書が権威あるものとして扱われていた。ヴェサリウスは、自ら解剖を行うことで、古代の教えの誤りを発見したのである。 この誤りを指摘した『De Humani Corporis Fabrica』は、当初は権威ある医学界を脅かすものだったが、最終的には賞賛され、シャルル5世の侍医となり、この巻を捧げることになった。 ヴェサリウスのテキストには、ティツィアーノの工房で学んだヤン・ステファン・ファン・カルカル(1499-1546)を含む熟練したアーティストたちによる200以上の木版画が丁寧に収められている。『De Humani Corporis Fabrica』以前の解剖学書では、これほど完全で優れた図版はなく、教義的な意図もあるが、美的価値にも優れている。扉絵では、ヴェサリウス自身が大広間で大勢の観衆を前に講義をしており、床屋外科に解剖をさせ医師は演台で講義のみを行うという伝統を破って死体の真横に立ち、自らの手で解剖しながら講義をしている。有名の版画の一枚には、遠い町や低い地平線の風景の中に、苦痛や思索のポーズをとるように立つ、皮を剥がれた人間や骸骨を描いたものがある。彼の作品には、肉体の構造を示すだけでなく、人間の神秘的な側面への関心が込められている。
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