千葉大学医学部附属病院 樋渡 俊介
私は第23回頭頸部手術手技セミナーに参加し、鼻の中で行う内視鏡手術を勉強させて頂きました。内視鏡手術は患者様への負担の少ない手術や体表からの処置が困難な高度な手術を可能にします。しかし、鼻の中は多数の血管が存在し、薄い紙のような骨1枚を隔てた先には眼や視神経、そして脳が存在するなど、危険もある領域です。
今回はご遺体の先生のもと初めて行う手術手技を実践し、習熟を深めることが出来ました。さらに、普段の手術では立ち入ることのできない血管や神経が実際にどのように走行しているのかを確認することで、どこからが危険でどこまでなら安全に進むことが出来るのかを時間をかけて学ぶことが出来ました。
ご遺体の先生に教わった2日間は非常に特別な経験であり、医学の発展のためにと献体頂いた皆様の想いにはこれからの患者様に施行するより安全で高度な手術で応えゆくのだと決意を新たにしました。このような貴重な機会を与えてくださった献体者の皆様と大切なご家族を送り出してくださったご遺族の皆様に心からの感謝を申し上げます。