自衛隊中央病院 整形外科 窪野はな
普段の手術では、必要最低限しか皮膚を切らず、「ここは大切な神経や靭帯が走っているから危ないぞ」というところは極力触らないように、ある程度安全性が確立された方法で手術を進めていきます。しかしながら、若輩者の私にとって「こうしないと危ない“らしい”」というぼんやりとしたイメージの中で手術を進めるのは難しいものがありました。
今回、いつもの手術より大きく皮膚を切って「いつも手術で触っている場所のどのくらい近くにどの程度の太さの神経・靭帯が走っているのか?どうしても必要なときに、どのようなアレンジをどこまで加えることが許されるのか?」といったことをご遺体の先生に教えていただき、様々な手術法について理解を深めることができました。
自分のお身体を“医学の発展のために”とご献体いただいた皆様と、大切なご家族のお身体を送り出してくださったご遺族の皆様のお気持ちを思うと身が引き締まる思いです。勉強させていただいた感謝を胸に、日々の臨床に還元していきます。ありがとうございました。
南整形外科 南 公人
今回、私は千葉手肘の外科研究会Cadaver Workshop 2023に参加させて頂きました。外来診療や手術でエコーを使用するようになってから、自分が見ているエコー画像と実際の解剖とのギャップを埋めるために、解剖を見て学習する必要性を常々感じていましたので、すぐに応募し九州、熊本県から駆け付けました。
2023/9/15、9/16の2日間でエコーや関節鏡を使用し、参加者の皆さんとディスカッションを交えながら勉強させて頂きました。日頃行っている手指のエコー下注射では、どの層にどこまでの範囲で薬液が広がっているのかを色素注射をすることで確認したり、今後さらにスキルを高めていきたい低侵襲手術のデモストレーションを行うことができました。それぞれの手技で日頃気付けていなかった危険性などを確認することで、より安全で高度な医療を提供できると確信できた2日間になりました。
このような滅多に経験できない貴重な機会を与えてくださった献体者とご遺族の方々に心より感謝の言葉を申し上げます。この経験をもとに今後もさらに精進していく所存です。