救命のための緊急処置の中には、比較的行う機会の少ない手技が含まれますが、そのような処置を迅速かつ的確に行えなければ、患者を救命することができません。救急部の若手医師を対象として、胸腹部における緊急救命処置に習熟することを目的にこのプログラムを開催しています。
解剖に関する動画教材で予習を行ったうえで、ご遺体2体で開催させていただきました。外科的処置に熟練した指導者のもと、経験が少ない若手医師が中心となり術者を務めました。術者でない参加者も含めてそれぞれの処置の要点、実臨床で注意すべき点について確認し議論しながら、救命において重要な手技を学ぶことができました。
実際の救命救急の現場では一刻を争う状況が多く、ひとつひとつの手技に時間をかけ、確認しながら行うことはとても難しいです。さらに、それらの手技を経験する機会や、実際の手技にあたって指導者からの教育を受ける機会も非常に少ないです。今回、生体に近いご遺体で各手技を行うことで、それらの手技が必要となる状況の確認から、正しい解剖学や手順の理解、使用する器具の使い方も含め詳細に学ぶことができました。今回の経験は、今後の臨床において各手技を安全かつ迅速に行うことにつながり、ひいては患者の救命に貢献すると考えています。