令和4年12月10日11日の2日間にわたって、第19回頭頸部手術手技セミナー中耳側頭骨編が千葉大学Clinical Anatomy Lab(CAL)にて開催されました。
このプログラムは、耳科手術執刀歴がほとんどない若手医師を対象としており、中耳側頭骨の臨床解剖と基本的な手技理解を目的としたものです。千葉県内より熱意をもった8名の専攻医が参加し、それに答える耳科手術歴のある4名の指導医が共に勉強させて頂きました。
中耳を含める側頭骨は人体の中でも狭い空間に重要臓器が多く存在し、3次元的な理解が非常に難しい部位の一つです。例えば鼓膜は直径1cmもなく、外来診療においても患者への痛みのない確実な手技をどうすべきか、若手医師への教育が大変難しく指導医としても苦悩が絶えないのが現状です。また、耳科手術は耳鼻咽喉科手術の中でも困難を極める手術の一つであり、脳や内耳と近く危険と隣り合わせで一人前の術者を育てるには多くの時間、研鑽を必要とします。2日間にわたってじっくりと時間をかけて臨床解剖と手技を勉強させていただいたことは、実臨床に直結することばかりであったとの声が多く、非常に有用なプログラムでした。参加者一同、提供いただいたご遺体には感謝の念が絶えず、このご厚意には目の前の患者に安全で確実な医療を提供してお返しするしかないと考えております。この度はこのような貴重な機会を頂き誠にありがとうございました。