この度、頭蓋底外科手術手技セミナーを開催致しました。顕微鏡を使用した頭蓋底手術及び神経内視鏡を使用した経鼻手術をを用いて、前頭蓋底、側頭窩、後頭蓋窩の複雑な頭蓋底骨削除を行ない、各アプローチにおける重要血管、神経走行などの確認することで、安全な頭蓋底外科手術手技習得のための解剖教育を行うことを目的とした脳神経外科医を対象としたセミナーです。対象は千葉大学脳神経外科学に所属する若手医師としました。シール法で固定されたご遺体2体で勉強させて頂きました。今回は2日間の開催で、内視鏡講師1名及び顕微鏡の講師2名を配しました。内視鏡下頭蓋底手術として傍鞍部、海綿静脈洞部、上顎洞経由翼口蓋窩・側頭下窩、斜台部の開放を行い、開頭術-経鼻同時手術の術野展開の確認も行いました。顕微鏡下手術手技としては例年と同じく錐体斜台部手術での中頭蓋底経由による錐体斜台部外科解剖の習得及び外側後頭下開頭による術野との相違の習得を行いました。
今回の実習でも例年通り内視鏡及び顕微鏡での頭蓋底削除を安全に施行できる手技の習得を行なうことができ、更にお互いの術野を比較することができ有用でした。CALにて新たに改良して頂いたシール変法では、脳組織の固定がしっかりされており、頭蓋内操作に関しても神経及び血管解剖が温存されておりました。非常に教育目的として優れおり、指導する講師としても伝えたい内容をすべて伝授できたと思います。また、このセミナーの特徴の一つである複数視野からの観察(実際の患者では到底できません)では、顕微鏡及び内視鏡を用いて、経鼻と経頭蓋それぞれの視野の特性や操作の限界を知ることができました。複雑な頭蓋底構造を理解するのに本セミナーは非常に有用であり、今後より難度の高い頭蓋底手術手技を行う上で役立つのは間違いありません。我々医師も解剖が可能となるCALがある現在の千葉大学で勉強する若手医師たちの得られる情報はそれ以前とは比較になりません。この恵まれた環境を活かして患者の治療に邁進していって欲しいと考えています。CALの理念に賛同して解剖への同意を頂けました千葉白菊会の皆様におかれましては、本当に感謝しております。