千葉大学大学院医学研究院
先端応用外科学
千葉大学病院
食道・胃腸外科
食道の壁の一部が嚢状に外側に突出している状態です。食道壁の弱い部位に内圧が加わり発生する内圧性憩室と、食道壁の周囲組織の炎症、癒着、瘢痕性収縮等により壁が脆弱になり生じる牽引性憩室があります。食道の入り口(食道入口部)、食道のほぼ真ん中(胸部中部食道)、横隔膜の上(横隔膜上)の三ヶ所によく発生し、それぞれ咽頭食道憩室、気管分岐部憩室、横隔膜上憩室といいます。
症状はあまりありませんが、憩室が大きくなったり、炎症を起こしたりしたときには、嚥下痛、嚥下困難、食物の停滞感、逆流、嘔吐などがみられます。内圧性憩室では食道の内圧により徐々に大きくなる場合があります。
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)やバリウムによるレントゲン(上部消化管造影検査)で診断されます。無症状のかたは検診やドックの検査でみつかることもあります。
症状がなければ、一般にはそのままで、治療の必要はありません。炎症、出血、圧迫等による症状があって困る場合には、手術により憩室を切除あるいは形成しますが、手術が必要となることは多くありません。