千葉大学大学院医学研究院
先端応用外科学
千葉大学病院
食道・胃腸外科
内視鏡機器の進歩によって、近年多くの疾患が手術を行わずに内視鏡的な治療が可能となってきています。ここでは当科において実際に行われている内視鏡治療をそれぞれの適応疾患とともにご紹介いたします。
次の疾患が治療の対象となります。
主に良性の場合を対象としていますが、悪性が疑われる場合でも診断目的で切除を行うことがあります。治療の前には必ず超音波内視鏡診断を行い内視鏡治療が可能かどうか判断します。治療可能な場合には、高周波スネアや IT ナイフ( Insulation-Tipped Knife )を用いた切除を行います。腫瘍の部位や大きさによって治療法や入院期間が若干異なります。
さまざまな合併疾患によって消化器癌(食道癌、胃癌、大腸癌)の根治治療が行えない方を対象にしています。一回の治療で完結することはなく、複数回の治療を要します。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍の出血や大腸出血(潰瘍、憩室など)に対して行います。止血方法にはクリップ止血、純エタノールや高濃度食塩水などの局注、止血鉗子による高周波凝固、アルゴンプラズマ凝固( APC )などがあり、状況に応じて選択しています。
癌などによる消化管の狭窄で食事摂取ができなくなった方を対象に行います。疾患別では手術困難な進行食道癌、腸閉塞をきたした進行大腸癌などです。癌の根本的な治療ではなく、あくまで QOL ( Quality of life )の改善を目的とした治療法です。
薬の PTP 包装や義歯などの異物誤飲に対して行います。放置した場合には消化管穿孔などの合併症を起こす例もあり、異物の形態と性質を把握したうえで慎重に異物除去を行っています。
食道癌、胃癌などで術後に吻合部狭窄をおこし、食事の摂取量が極端に減ってしまった方を対象にしています。バルーンダイレーターという先端に風船がついた処置具を使って拡張します。通常は外来で治療可能です。