疾患と治療

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ヘルニア

 ヘルニアとは、脱出することを言います。鼠径とは足の付け根の部分を指します。この部分からは、精子の通る精管、子宮を支える子宮円索、足への血管や神経がお腹から出てきます。加齢に伴い、身体の組織が弱くなるため、これらのすき間より腹膜、腸、脂肪などが出てきます。腸が出たり、腹膜が引っ張られると痛みを伴います。また、一般には脱腸と呼ばれます。

 腸がとび出したままもどらない状態を嵌頓といいます。この場合は、ヘルニアは堅く張り出しており、強い疼痛があります。これは、腸が締め付けられている状態ですので、還納(脱出した腸を戻すこと)出来なければ、緊急手術が必要になります。腸が腐るまでの最短時間は約 6時間と言われています。腸壊死になっている場合には腸を切除する必要があります。

 手術適応は、嵌頓して戻らない、以前に嵌頓の経験がある、疼痛などの症状がある、再発の場合などです。手術は、脱出した腹膜を戻し、人工の膜(=メッシュ)を挿入し補強することが一般的です。嵌頓症例では、腸切除を行う場合もあります。メッシュを使わない治療法では一般に再発率が約 20%以上と高率ですが、メッシュを使用により約1-3%と低下します。