千葉大学大学院医学研究院
形成外科学
千葉大学病院
形成・美容外科
続発性(二次性)リンパ浮腫患者を対象とした ICG蛍光リンパ管造影による 蛍光リンパ管造影によるリンパ浮腫診断・治療の有効性及び安全を評価する単群オープ試験 第III相試験
(HAMAMATSU ICG study: HArmonized Medical Assesment of lyMphoedemA based on The dyagnoStic Usefulness of fluorescent lymphangiography with IndoCyanine Green study)
体内の流れには動脈、静脈の他にリンパ管という管があります。リンパ管内にはリンパ液が流れ、体液を循環させる役割を担っています。何らかの理由でリンパ液の流れが滞ると、むくみが生じてきます。この状態を、「リンパ浮腫」といいます。一度発症すると、難治性で徐々に進行してゆきます。リンパ浮腫の原因は2つに分けられます。
① 生まれつき、リンパ管の形成不全や機能障害がある場合(一次性)。
② 手術や外傷の後遺症(二次性)。最も多いものは子宮がんや卵巣がん、乳がん、前立腺がんの手術で、リンパ節切除を行った場合です。残されたリンパ管が頑張ってリンパ液を身体の中心に運びますが、限界に達すると感染などをきっかけに、急に腕(上肢)や足(下肢)が腫れてしまいます。
②の原因によるリンパ浮腫を「続発性リンパ浮腫」と呼びます。今回の治験の対象となるのは続発性リンパ浮腫の患者さんです。
リンパ浮腫の治療は対症療法としてリンパドレナージ、圧迫療法などが行われてきましたが、いずれも根本的な治療ではありません。近年、インドシアニングリーンという蛍光色素を用いコンピューターで画像処理することでリンパ管を可視化する検査方法が開発され、どこにリンパ管があるかを簡便に把握することが可能になりました。この新しい検査法に使われるインドシアニングリーンは、「ジアグノグリーン注射用25mg」という商品名ですでに承認されています。肝臓の機能検査、末梢静脈の評価、脳血管造影、乳がんのセンチネルリンパ節の同定において一般の治療でも広く使用されています。
さらに、インドシアニングリーンを使った検査方法を応用し、リンパ管と静脈をつなぎ合わせる手術も行われるようになりました。この検査方法は、未だ保険適応がなく、今回の治験で有効性が認められれば、新たな検査法として広く用いられる可能性があります。
今回の治験では、続発性(二次性)リンパ浮腫と診断された方で、リンパ浮腫に対して外科的な治療が望ましい患者さんに対して、インドシアニングリーンという治験薬を皮下注射し、赤外観察カメラを使って外科的治療に適するリンパ管をみつけ、手術に適したリンパ管を静脈につなげることでリンパ液が静脈に流れていくことを確認します。
インドシアニングリーンを用いることが、リンパ浮腫を診断するためのリンパ管造影、治療(手術)の際のリンパ管造影に有用かどうかを確かめることが、今回の治験の目的です。
この治験では、インドシアニングリーンと赤外観察カメラを用いて行うリンパ管造影検査を合計3回(①~③)行い、以下に示すように、それぞれの検査でインドシアニングリーンが有用かどうかを評価します。
① リンパ浮腫の診断時に、リンパ管を正しく把握することができるか(標準的な検査方法であるリンパシンチグラフィもあわせて行ない、結果を比較します。)
※リンパシンチグラフィという検査では、テクネチウムという薬剤を使用します。
※テクネチウム(プールシンチ注)はリンパシンチグラフィ検査への適応がありませんが、厚生労働省の通知で保険診療として認められています。
② 手術前に、手術で吻合するリンパ管を正しく把握することができるか
③ 手術中に、吻合したリンパ管と静脈がつながったことを確認できるか
この治験では、患者さんから同意をいただいた後、スクリーニング検査を行って、一次登録を行います。一次登録後、①の検査およびリンパシンチグラフィ検査を行い、治験へ参加いただけると医師が判断した場合は二次登録を行います。二次登録の後、手術の前日から術後1週間までの7日間入院していただき、②と③の検査を行います。
本治験に関して更に詳細な情報を知りたいなどがありましたら、下記にお問い合わせください。
なお、本ホームページにおいては被検者となる方の募集は行っておりません。治験の参加にご興味がある場合は、各施設の外来受診のご予約をお取りください。
相談窓口:
【平日(8:30~17:00)】
◍形成・美容外科外来
代表:043-222-7171
◍臨床試験部コーディネーター室
代表:043-222-7171
直通:043-226-2630