《医学部長インタビュー》千葉大学医学部を目指す若者へのメッセージ
千葉大学大学院医学研究院長・医学部長 松原先生に千葉大学医学部の特色や先生自身のお話をインタビューしました。
松原久裕
松原先生、本日はありがとうございます。
早速ですが、千葉大学医学部の特色についてお教えいただけますでしょうか。
千葉大学医学部は、地元の医療を行う共立病院にまで遡ることができ、スタートして140年以上の歴史があります。その長い歴史を通じて、 (1)地域の方々への医療の提供、(2)医学の進歩に貢献し世界に向けて発信するという、この両輪を昔から一生懸命にやってきているのが千葉大学医学部です。
両輪についてもう少しお聞かせいただけますか。
千葉大学医学部が大切にしているものに「治療学」というものがあります。これは「治療をもとに新しい医学・医療を開発していく」という考え方です。
千葉大学医学部では、医師になってから千葉県内の関連病院を中心に地域の医療に従事しながら、患者さんと直接に向き合いながら医療人として成長していきます。加えて、研究の成果を世界に発信しながらお互いに切磋琢磨しています。地域の方々への医療も熱心に、世界に通用する研究も熱心に進めながら、学生がその現場に直に触れることができるのが千葉大学です。 別な言い方をすると、学生にとっては「地域の医療」と「世界の医学」どちらの方向に進んでも一流の医師・医療人になれる大学ということです。
2021年、84年ぶりに建物が新しくなったそうですね

千葉大医学部は、2021年4月に84年ぶりに古い医学部から移転してきました。
旧医学部は関東大震災後に建てられたもので、非常に重厚な建物です。建築学的にも残すべき貴重なものがある非常に立派な建物ではあるんですが、さすがに80年も経っていますので研究や教育の上で快適とは言えなくなっていました。新しい医学部棟はどこへ行ってもまさに「快適」という建物になっています。
新棟は研究の環境としてはもちろんのこと、教育施設としても非常に素晴らしい施設です。
一番違うのは、学生が学ぶ講義室、実習室です。
近年、医学部では「スモール・ティーチング(スモール・グループ)」での教育が重視されていて、そのための部屋がたくさんあります。また、「アクティブ・ラーニング・スペース」という大きな趣の異なるスペースがあります。開放的な雰囲気のスペースで学生の皆さんが自主的にディスカッションをしたり、お弁当を食べたり、とてもいい雰囲気で過ごされています。
そして実習室。
医学に必要な最新のコンピュータや顕微鏡、さらには各解剖台にモニターが設置された、現在の医学教育においては本当に最適な環境です。もうまさに至れり尽くせりで、「解剖実習をやるなら千葉大で」と自信を持って言えます。
さらに、「クリニカルアナトミーラボ」という非常に立派な施設もあります。これは外科系の技術の習得のための施設です。最近は他大学でも同様の施設ができてきていますが、本学の施設は、もう間違いなく日本で最高の設備を持った施設です。
千葉大学医学部が求めるのはどのような人材ですか
千葉大の医学部の学生になってほしいのは、「目の前にいる患者さんをきちんと治す」という心を持った方です。とにかくこれが一番の基本です。
この基本の上で、さらに「教育や研究」も担える人材になってほしい。例えば、目の前の患者さん100人を治してもやはり100人しか治せませんが、教育によって100人の患者さんを診る医師を100人に育てられれば100人×100人で1万人の人が治るわけです。ですから、教育というのは非常に重要です。
さらに研究。これも教育と同じで、現在治せない病気を治せるようにすれば、目の前の一人ではなくて、その後の100人、1万人かもしれないし、さらに時代を重ねれば何百万人の病気を治すことができるかもしれません。
このように、診療・教育・研究も担う人材になっていただきたいと思っていますし、そのような人を育てていくというのが我々のミッションです。
ありがとうございます。
話は大きく変わって、今度は松原先生のことを少しお聞かせいただけますか。
松原先生はどのようなきっかけで医師をめざされたのですか?
具体的なきっかけは私自身もよく分かっていないのですが、進路を決めていく上でなんとなく医者になりたいという気持ちが出てきて、その中でもガンを治したいという気持ちが一番大きかったです。さらに言うと、医師になるからには手術をしたいな、外科医になりたいなというふうに思っていました。
私自身の家系には医師や医療関係者はまったくおらず私は突然変異のように医師になったわけですが、そういう者でもきちんと勉強すれば医師になれるというのが千葉大学医学部だと思っていただきたいです。今でも、その道を選択して間違いなかったと思っています。
最後になりますが、千葉大医学部を目指す若者へのメッセージをお願いします
千葉大学医学部には、皆さんの力を発揮できる施設、スタッフが揃っています。その上、地域医療から世界を目指す医学まで、幅広い医療・医学に対応しています。また、千葉大学医学部がある「亥鼻キャンパス」には「看護学部」「薬学部」もあり、医療学・医学を学ぶ者にとっては本当に適した場所です。
ぜひ皆さんの力を地域の医療、それから世界の医療・医学を牽引していくところで発揮していただきたいと思います。パワーあふれる学生に来ていただくことを期待しております。