教室紹介

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教授ご挨拶

腎臓内科学 教授
淺沼 克彦

教授挨拶

〇千葉大学腎臓内科について

 千葉大学腎臓内科は2017年に私が初代教授に就任した新しい講座です。当初は5名の医師でスタートしましたが現在は20名以上の医師が在籍し、臨床・研究・教育に従事しています。千葉県は、腎臓専門医・透析専門医が人口に比してかなり少なく、総合病院でも腎臓内科医不在の病院が多く、合併症の多い腎疾患症例や診断に苦慮した症例などは当科へ集まってきている状況で、当科は、千葉県の腎臓病・透析患者の最後の砦として機能しています。

 

〇千葉大学腎臓内科の臨床について

 当科では、腎疾患の診断・治療だけでなく、腎臓の機能が廃絶した腎不全患者さんに対し、血液透析、腹膜透析の腎代替療法をおこなっています。また、腎移植をご希望の患者さんには、腎不全の管理は腎臓内科で行い、腎移植の時には食道胃腸外科にご紹介して生体腎移植・献腎移植を行っていただいています。

 血液透析、腹膜透析は人工腎臓部でおこなっていますが、私が人工腎臓部の部長を務め、腎臓内科医は透析導入患者だけでなく他診療科に入院した透析患者さんの管理も行なっており、保存期腎不全患者さんの治療や手術にも随時対応しています。腎臓病の診療については、国立大学附属病院の腎臓内科としては多い年間100例以上の腎生検検査・診断を行っています。

 

〇診療・教育の体制について

 前述した通り、当科には多くの腎疾患患者が紹介されてきますので、多様な腎疾患を経験でき、腎不全患者の管理や合併症を多く抱えた症例など、腎臓内科医が経験すべき症例を満遍なく経験することができます。腎病理診断については、腎臓内科医が直接関わっており、自分で行った腎生検の病理診断、治療方針決定、治療経過まで経験することができます。

 多くの腎生検検査をおこなっているため、診断に苦慮する症例がありますが、順天堂大学医学部附属浦安病院病理診断科・教授・冨田茂樹先生に定期的に病理カンファレンスに参加していただきご指導いただいています。また、アメリカ・ロサンゼルスのCedars Sinai病院の腎病理医の山下倫史先生にwebレクチャーを定期的におこなっていただき、腎病理診断の基本について勉強できる体制を整えています。

 透析の導入に関しては、内科でありながら、透析シャント手術、シャント血管拡張術(PTA)、腹膜透析カテーテルの挿入を腎臓内科医が自ら行なっています。内科医が外科手術を行うことに不安を感じる方もいらっしゃると思いますが、難しい症例に関しては、救急科や食道胃腸外科の先生と連携をしていますので、さまざまなトラブルシューティングも経験することができます。腎移植については、アメリカで腎移植フェローの経験がある先生が加わったこともあり、術前・術後の腎移植患者・レシピエントの管理に関わるようになっています。

 

研究について

 研究は、私がこれまでライフワークとして慢性腎臓病進展の分子メカニズムの解明を基礎研究で行って来た関係で、腎糸球体の構成細胞の一つである糸球体足細胞(ポドサイト)についての研究を行っている大学院生が多いです。しかし、他の研究テーマにも積極的に取り組んでおり、透析患者の腸内細菌叢の研究、Aiの透析医療への応用、慢性腎臓病対策へのスマホの活用などの臨床研究も積極的に行なっています。大学院生の研究テーマは、基本的に希望に沿ったものを大学院生と一緒に考えて決めています。千葉大学内には多くの先進的な研究室が揃っており、共同研究を行いながら腎臓内科研究室のレベルを上げて千葉から世界へ研究成果を常に発信することを目指しています。

 

〇女性医師のキャリアについて

 私は千葉大学医学部附属病院の医師キャリア支援センター長および千葉県医師会男女共同参画委員会の副委員長を拝命している立場から、腎臓内科では女性医師のキャリア継続を支援するため、それぞれの家庭事情を考慮した勤務体制を整えています。女性医師は結婚や出産といったライフイベントによりキャリアが中断しがちですが、当科では産休・育休以外の理由でキャリアが中断しないよう、さまざまな配慮を行っています。例えば、育児のために常勤勤務や当直が難しい場合には、透析室の当番や日中の救急当番に振り替えるなど、医局員同士で協力しながら柔軟な働き方を実現しています。

 

〇最後に

 千葉大学腎臓内科は、腎臓内科医として必要な全てを経験することができる環境が整っています。また、腎臓内科分野で得意な分野を極めてもらい、卒業年に関係なく教え合う文化を大切にしています。それぞれのライフプランやキャリアの希望に最大限配慮していますので安心して入局していただき、高い志を持った腎臓内科医として将来活躍していただきたいと思っています。

 

 


 

略 歴

1995年      順天堂大学医学部卒業(医師国家試験合格)

1995年~1998年 虎の門病院内科研修医

1998年      順天堂大学医学部腎臓内科学講座入局

2002年      医学博士(順天堂大学)

2002年      (アメリカ留学)アルバート・アインシュタイン医学校(Research Associate)

2005年        (アメリカ留学)マウントサイナイ医科大学(Research Fellow)

2006年      順天堂大学医学部腎臓内科学講座 助教

2012年      順天堂大学腎臓内科 病棟医長

2013年      京都大学大学院医学研究科メディカルイノベーションセンター TMKプロジェクト 特定准教授

2017年5月~    千葉大学大学院医学研究院 腎臓内科学 教授

2019年4月~    千葉大学医学部附属病院 人工腎臓部 部長                                                                 医療機器安全管理責任者

2019年10月~  千葉大学医学部附属病院 医師キャリア支援センター センター長

2023年4月~   千葉大学大学院医学研究院副研究院長

 


Astellas Square 201810-11月号より

 近況近影 淺沼先生.pdf


腎と透析83-4の巻頭言に淺沼教授の言葉が掲載されました。

『腎と透析』834号(201710月号)p.509-510より転載

 腎と透析83-4巻頭言.pdf