留学便り

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University of Cambridge

古田俊介(Shunsuke Furuta,MD,PhD)
Lupus and Vasculitis Clinic, Addenbrooke’s Hospital, University of Cambridge

 私は平成24年の1月から平成25年7月までイギリスのCambridge大学附属病院であるAddenbrooke’s Hospitalに留学しました。Addenbrooke’s Hospitalは300年の歴史と1400床のベッド、7000人のスタッフを持つ巨大病院です。付属の研究施設も充実していて、何人ものノーベル賞受賞者を輩出しています。私の所属していた部署はLupus and Vasculitis Clinicというところで、ボスのDavid Jayne先生は多くの国際共同臨床試験を主導してきた方でした。その外来にはイギリス国内の患者さんはもとより、世界中から患者さんが集まってきていました。そんな環境の中、外来や病棟を見学させてもらいながら、いくつかの臨床研究を実際にやらせてもらうことができました。「関連するフィールドで実際にデータを扱いながら臨床研究の方法論を学ぶ」という、私の当初の目的は概ね達成できたように思います。また、身体診察、検査、治療における違いだけでなく、医療に関わる制度(例えばイギリスでは医療費は全て無料です)の違いや死生観の違いなどに起因する日本とは異なる医療のスタイルを見ることができたのは、自分の考え方の幅をひろげるという意味では大変貴重な経験でした。

 仕事以外でも、プレミアリーグの試合を生で観ることができましたし(オールドトラフォードでマンチェスターUが優勝を決めた試合も観れました)、毎週のように草サッカーを楽しめました。日本とちがい、イギリスは天然芝のコートがたくさんあります。サッカー好きな人には、イギリスはお勧めの留学先です。

 最後に快く留学を許可して下さった中島裕史教授と旭中央病院(当時)岩本逸夫先生、留学に際してお力添え頂きました帝京大学鈴木和男教授、受け入れてくださったDavid Jayne先生にこの場を借りて深くお礼を申し上げます。

柏熊大輔(Daisuke Kashiwakuma,MD,PhD)
Division of Rheumatology, Department of Medicine,University of Cambridge

 2013年8月より英国のUniversity of Cambridgeに留学しています。こちらでは、炎症性関節炎の患者検体を用いて、リンパ球に関する基礎研究を行っています。また、同附属病院であるAddenbrooke’s hospitalにてRAクリニックやASクリニック、病棟回診の見学、週1回のRheumatology meetingに参加しています。英国の専門医の診療は1名にかける時間が長く、問診、身体診察が大変丁寧です。Rheumatologyのカバーする範囲も、炎症性関節炎や膠原病のみならず、骨粗鬆症、OA、慢性疼痛までと幅広く診療しています。日本とは保険制度も専門医の役割も異なりますが、今後の診療に生かせる経験を積む事ができたと思います。

 CambridgeはLondonの北、約80kmに位置しており、Londonまで電車で50分足らずで行くことができます。ヨーロッパの各都市も、空路で1,2時間程度の距離にあり、休みの日には格安航空会社を利用し、ヨーロッパ旅行を楽しむことができます。町の中では、長い歴史を感じることができる建築物や庭園、Cam川沿いの美しい風景を見る事ができます。食事に関しては、想像通りのFish & chips や伝統的料理もありますが、美味しいものもたくさんあり、日本の食材も手に入ります。

 当初は言葉の壁や買ったばかりの自転車を盗まれるなどの小トラブルもありましたが、現在はこちらでの日常生活にも慣れ、研究に専念しています。帰国後は、留学で得た知識、経験を今後の診療、研究に生かせるように頑張りたいと思います。

中込大樹 (Daiki Nakagomi, MD, PhD)
Addenbrooke’s Hospital, University of Cambridge

 私は、2014年5月から先輩の古田先生に紹介していただき、ケンブリッジ大学付属病院の血管炎教室に留学しています。腎臓内科の一部となっていますが、血管炎の教室としてほぼ独立した状態です。David Jayne先生を師事し、ヨーロッパ諸国から私と同じような留学生が沢山来ています。科のカンファレンスもありますが、血管炎と呼吸器内科や放射線科など、他科との症例検討が頻回に行われるのは良いことだと思いました。外来も血管炎だけではなく、リウマチ科の外来にも時々お邪魔させてもらい勉強しています。自分に与えられたメインの研究テーマは、大血管炎のアウトカム評価です。Takayasu arteritisとGiant cell arteritisの患者のQOL、画像、ダメージを比較することを試みています。放射線科の先生やオックスフォードのRaashid Luqmani先生に、協力を仰ぐため片言の英語で何とかなっているのには驚きです。自分の研究も大切ですが、人との繋がりを作ることができるのが留学の重要なところだと思いました。イギリスは、契約などいろいろ遅かったり、一部いい加減な所もありますが、列に並ぶ等のマナーや、謙虚なところ、優しい所は日本と似ているのでストレスはなく日本人にとっては住みやすい国だと思います。日本に帰国後は医者としてだけではなく、常にジェントルに人に接していけるように心がけたいと思います。

写真 Addenbrooke’s Hospital